なぜBMW2002をレストアするのか2008年01月04日 20時44分17秒

2008年になりました。
この 74年式 BMW2002(通称マルニ)を手に入れてから1年2ヶ月経ちました。
今年はいよいよこのレストア中のBMW2002を走らせる事が出来そうな年です。
エンジンを組み、ボディに載せ、内装外装を仕上げていけば・・・。

そんな2008年の年頭にあたり、今年最初のブログ記事、なぜ僕がBMW2002をレストアしているのか?ということを書いてみようと思います。

素地
・機械や車いじり、修理がいつのまにか趣味みたいになってしまった。勢い、道具類も増えた。→車趣味。
・故障した機械を修理して、きちんと動くようになると、大変な満足感を覚えるようになってしまった。
・コンピュータ装置のない機械仕掛けで仕組みを理解できる、だから自分で修理したり整備できる(再生できる)車がいい。
・所有していて嬉しい車。旧車で名車だけど、気軽につき合える車。
・高価でない車。50万以下でトコトン楽しむ。そんなに可処分所得ありましぇん
・古い車でもパーツ供給のいい車。
・ウチは子供も居ないので、一人で乗る車→2ドアでよし。
・取り回しのいい小さな軽いクルマ。→小排気量でよし
・国産よりも輸入車が面白い。(舶来もの好き?)
・ファンが多くて情報交換、適度な規模の仲間が多い車(輸入車)。

なぜBMWなのか?
車買い換えを考えた12年前。当時の職場の上司がベンツSクラス、同僚が フォルクスワーゲンゴルフ3に乗っており、BMWに目がいったのは見栄っ張りの僕には自然な成り行きだった?あちこちガタがきたトヨタ車からの乗り換え。当時はBMWを買うにしても価格的にも中古のE30(2代目 BMW3シリーズ83-90年)にしようかと考えました。しかし書店で手にした E36(3代目 BMW3シリーズ90-97年)の特集本を読み、これはいい車だな!と思ったのが始まりでした。1年後にはE36の中古318ti(1800cc)を手に入れ知ったBMWの世界。あれは96年。
・BMWというメーカー
 メカ、走りにこだわるメーカー、エンジン屋というイメージが強い。オイル臭い。なんか男らしい。古いモデルほど。
・6気筒車は ビッグシックス(533i,3.0CS)、スモールシックス(C1-2.3)ともに堪能したので、今度は4気筒で。しかもその原型の M10エンジンで。となると60〜70年代のBMWか。

数あるBMWでなぜマルニなのか
・BMWの歴史でBMW2002の存在は大きい。
・絶対的に中古車狙いであります。新車は高い。腐っても鯛。
・E36,E30,E28,E9(3.0CS)と来れば、やっぱマルニは乗っとかないと!?
・ノーマルの角テール、キャブ、マニュアルの本国仕様でまず堪能したい。

まとまりがないですが思いつくまま書いてみました。
文字で書いても、好きなものってなんか、完全に言葉にはできないですね。
それでは今年も、がんばりましょう。

エンジンスタンド製作中2008年01月07日 21時13分48秒

いや〜、新年早々からレンチを握りっぱなしで修理ばっかり。
BMW2002のレストアじゃなくて、仕事場です。
電気窯や灯油窯のバーナー、真空式土練り機が立て続けに壊れてしまいまして・・・レストアしなくても、これだけでも十分満足しているような・・・。

仕事始めからようやく週休となりましたので、今年のレストア事始め。
エンジンスタンド製作。
最初はスタンドなしで組もうと思っておりましたが、クランク入れたりピストン入れたりする作業で縦にしたり横にしたりするうちに知らないうちにゴミがオイル通路に入ったりするのを避けるため、やっぱり必要かなと思い出しました。

構造は正月休みにコタツで構想を練りましたので、今日から実製作。カーベキューの再利用で、自作のタテ回転型のエンジンスタンド。
溶接機やカッターを持ち出して作業。今日は割と暖かく、外作業でもあまり寒さを感じない。

自作エンジンスタンドは左右に回転軸をガッチリ取り付け、くるくる回すことができるように作ります。回転軸はホームセンターで足場用に売っているものを利用。取り付けは画像のようにエンジンブロックの左右にたくさんあるボルト穴を利用します。ちょうどエンジンマウントのボルト穴が利用できました。うまく回転の軸ができあました。
一般のエンジンスタンドはミッション側のボルトを利用して取り付けますが、個人的にどうもあれは落っこちそうに見えて不安なのです。
自作するならミッション側のシールなども取り付けやすいこのタイプをと思っていました。
ただし、コンプレッサーやオルタネータなどの補機類はこのスタンドでは取り付け無理。スペースが無い。車体に載せてから付ける事にします。

シリンダーのホーニング2008年01月08日 20時05分12秒

BMW2002の4気筒エンジンのシリンダーを自分でホーニングしました。
今回のエンジンオーバーホールではピストンを再使用しますが、ピストンリングは新品を入れますので、擦れ合うシリンダー内壁には細かな擦り傷、潤滑オイルを保持させるための「クロスハッチ」をつける必要があります。この作業をホーニングといいます。普通は内燃機関屋さんに頼んでやってもらう仕事。
私のマルニ、エンジン分解したらクロスハッチはほとんど消えておりましたので、今回、自分でホーニングをやってみました。

その必殺?道具がこのフレックスホーン(FLEX-HONE)という米国BRM社の商品。ワイヤブラシの先に樹脂で固めた砥粒のツブツブが低温焼結された特殊な軸付きブラシです。円筒内壁を研磨する為のブラシです。
このサイズ、大から小まで様々揃っており、マルニのシリンダー径の89.0mmにピッタリのものがありました。実際にはワーク(研磨対象物)内径よりも10mm程少し大きめです。でないと内壁をまんべんなく研磨してくれませんから。
砥粒の材質は固いワーク用のシリコンカーバイト(SC)をチョイス。砥粒の粒度も番手が様々あって、今回のホーニングには240番をチョイス。通常のホーニングでは表面粗さ単位で3s程度に仕上げるらしいので、それに近い2s程度に仕上げられるのが240番でした。
結局、 FLEX-HONE GB-89.0というものをいつものMonotaroでネット注文。8980円也。モノは安くないが、ここは送料無料なのでいつも利用してます。

個人ユース用に工具店等で売られているホーニグンツールと言えば3本の長い砥石が軸に付いた3000円程度のものですが、あれはボーリングした後ならいいでしょうが、今回のようなボーリングしないシリンダーには全面研磨してくれそうにないと思いましたので今回はFLEX-HONEを選択した次第。
FLEXHONEについて。
http://www.yuko-corp.co.jp/flexhone/index.htm
http://www.brush110.com/catalog/105.html
ホーニングについて。今回プラトーホーニングではないですけど。
http://ibg.seesaa.net/article/1742381.html

さて作業前準備としては、コーヒー空き缶でフレックスホーンをブロックから上げたときのオイル飛散防止のカバーとします。また、シリンダーの内壁、ホーンの砥石部にもエンジンオイルをたっぷり塗っておきます。湿式研磨ですね。
さて本番、ほとんど一発勝負なんで気合い入れて!
無段階調節式の電気ドリルにフレックスホーンをセットし、800~1200回転で回しながらシリンダーに突っ込む!(突っ込み始めはシリンダー内壁の摩擦抵抗で回転数がぐっと落ちるのでちょっと速めに回しておくのがコツ)
そのままシリンダー内を下まで回転させながら突き抜けて、次は上に引き戻す、の連続ストローク。1秒に1往復ぐらいの早さがちょうど斜めのクロスハッチの付き具合がよいようです。速い動きですよ。一つのシリンダーあたりに20〜30往復して終わり!ものの30秒ぐらいで終了!!(デジカメで動画撮ったので次回紹介します)

シリンダー内の砥粒の混じったオイルをウエスで拭って、クロスハッチの突き具合の確認、目視ではだいぶ荒れているように見えますが、指先でこすってみたらシリンダー内壁はツルツルです。それほど細かい傷なんです。ボア径が大きくなっているなんて事はないでしょう。
マニュアルに従ってやったので、まぁこんなもんかな?と思います。

このあと、マニュアル通りに熱い湯と中性洗剤でシリンダー内部を洗浄、水分をエアブローしてから、さらに洗浄油でエンジンブロック全体を徹底洗浄しておきました。もちろんホーニングを終えたシリンダー内には保護のオイルをしっかり塗っておきました。
意外とあっさり終わったホーニング。
このフレックスホーン、たぶん二度と使わないだろうなぁ・・・ボア径89.0mm用です。誰か使われるときはお貸しいたします。

シリンダーホーニング動画2008年01月08日 21時40分32秒

自作エンジンスタンド完成2008年01月09日 20時37分16秒

自作のエンジンスタンド
エンジンスタンドの回転軸の方も多少補強溶接し、数本のボルトでがっちり固定。机の上にエンジンブロックを置いて高さを調節、カーベキューの脚を左右から取り付けて完成。
ぐるぐると回して確認。こんな重いものが思うように回せるのは楽でいいですね。
ちょっと大げさな?自作のエンジンスタンドになりましたが しばらくの間だけなのでよしとしましょう。これならBMW6気筒エンジンも大丈夫だったりして?

今月中にはエンジン完成させたいな〜〜

配線を整理2008年01月13日 20時29分55秒

ワイヤーハーネスの整理をしています。
外は雪、こんな寒〜〜い日は部屋の中でレストア。

配線をしばらくぶりに段ボールから出して、配線図と比べっこ。
BR BL のように配線コードの色が記されていますから、確認して何が何のリレーだかを確かめる。わかんないのも多くありますが ほとんどは外した時にタグを付けておいたのでそれをたよりにしていきます。

配線コードの束をまとめているぼろぼろで埃にまみれた黒布テープを取り、新たにアセテート布テープを巻いて見栄えよくしておきました。

焼けかかっていた配線もあったので、もうちょっと配線には手をかけなくては。

ステアリングのロッド類組み付け2008年01月15日 20時41分39秒

フロントアクスル、ステアリングのロッド類の組み付け。
ステアリングギアボックスはボルト3個のみで組み付け。簡単。

センターロッド取り付け。
ステアリングギアボックスから延びるアームとアイドラアームのテーパーかん合にはめ、おニューのキャッスルナット(戻り止めナット)と割ピンで固定。
割ピンはボールジョイントの穴径をドリルで2.5mmから3ミリに拡大した。2.5mmの割ピンが手元に無かったため。(^^ゞ 割りピン入れるのもなかなか手間がかかります。

左右のタイロッド組み付け。
ここはフロントタイヤのトーイン/トーアウトを調整するところなので、ロッドが回転しなくてはならない所。ところが4つあるタイロッドエンド回転部が全部固く固着していた。まぁ〜30年経った車では当然か、ネジ部分に水が入って錆びているんでしょう・・・。
万力にくわえてパイプレンチで渾身の力を込めて回す!!・・・固い!あかん。
こういうときはガスバーナーで炙って膨張させる。そして渾身の力で回す!回った!すかさずCRC556をねじ部分に注入、回して回してついに錆で固着したタイロッドも観念した。ネジ部分が赤錆まみれのCRCになっているのがわかるでしょうか?(右上画像)
こういう管ものをつかんで回すにはパイプレンチに勝る物はありませんね。バイスグリップよりも効く。
タイロッドエンドのゴムブーツは新品に交換済み、中のボールジョイントにガタはなかったので再使用!
ネジ部分がまた固着しないように油で洗浄し、銅粉を含んだ耐腐食グリスを塗って組み付けようっと。

ステアリングのリンクはちゃっちゃっと終わる予定だったのに、思わず時間を食ってしまった・・・今日はフロントストラットの組付けもしたかったのだけど、午後は嫁にAVP2を観に連れて行かれたので今日の作業はここまで。

ステアリングのリンク完成2008年01月16日 20時23分47秒

タイロッドの錆とり、塗装を行って組み付け。
固着も無くなったので、手だけでパイプ部分が回せるようになりました。
タイヤを取り付けてからトーインの調整を行います。

で、ようやく完成したフロントアクスル。(ストラットはまだですが・・)
これがあのサビサビだった足回りとは・・・(^.^)
白く塗ったスタビライザーが目立ちます。
早くハンドルつけてぐるぐるしたいですね。

ここを早く仕上げないと、エンジンも載せられないからね。

クランクシャフト組み付け2008年01月17日 19時57分41秒

BMW2002のクランクシャフト組み付け
エンジン腰下(エンジンブロック側)の組み立て始めました。
今日はクランクシャフト関係をやっつける。
まずは購入したSTANDARDサイズのメインベアリング(親メタル)をセット。
新しいメタルは銀光りしてますな〜〜

メタルの裏側にはオイルを塗らないで、セットした後、表側にオイルをしっかりと塗ります。裏側には塗る必要ないのです。
プラチゲージでオイルクリアランスを計測しました。5カ所。結果、0.05-0.07mmと一部(1番、5番)広めではありますが、基準値内という事でこれで組みます。
(メインベアリングのオイルクリアランス規定値は0.038-0.068mm)

クランクのメインジャーナルを洗浄後、オイル塗布したメタルの上にそっと慎重に置く。
ベアリングキャップにも片割れのメタルをセットしてオイル塗り、規定トルクで締め付け。トルクレンチで62Nm。

組み付け後はクランクが手の力だけで回るかを、変なシブリがないか確認。お〜〜!くるんくるんとスムーズにまわる回る。
い〜ぜ い〜ぜ!エンジンの心臓部!!

エンジンスタンドがあるから、安定した姿勢で組み立て出来て、これならトルク管理もきちんとできそうです。

クランクのリアシール2008年01月18日 21時41分01秒

クランクシャフトをセットしたら、後ろ側にリアシールを装着します。
エンジン内部のオイルが漏れださないようにするために、それでいて、クランクがスムーズに回転するように作られた固いシリコン製のリングシール。(赤い輪っか)表面の刻印を見たら→矢印があるので、回転方向が決まっている作りになっています。

数年前乗っていた2代目5シリーズのBMW533iではこのシールが経年変化により劣化、じわじわとオイル漏れするようになっておりました。10万キロも走ったらアウトになるんでしょうかね。「オイル漏れはちゃんとオイルが入っている証拠」と慰めにもならない言葉がありましたが、車の下の地面にできるオイル染みはやっぱり気持ち悪いものです。ボロい車の代名詞みたいになっちゃいますからね・・・

さてオイルシールはアルミのハウジングにはめ込むのですが、シールなんで当然挿入はキツイ。
で、このハウジングをストーブであっためます。適度に・・・
あったまったら直径も膨張するはずなので、挿入も楽なはす。
実際、リングシールを指で押し込むだけで、シックリ〜と奥まで入りました。
打ち込み用の鉄の円盤も用意していましたが、必要なかったですね。
このあとハウジングは冷えて収縮するからシールはガッチリはまる。
リアシールの回転して擦れる部分にはちょいとグリスを塗っておき、
あとはガスケットを忘れずに、6つのボルトで装着して取り付けるだけ。
また一つ、エンジンらしくなったのでした。