メルセデスE320CDIワゴン エンジンチェクランプ点灯の修理2022年07月11日 07時35分43秒

懐かしいE320DIワゴン、間もなく11万キロ走行。
エンジンチェクランプ点灯して加速が以前より悪くなった
ということで、修理のためにはるばる金沢から入庫です。

この症状が出たのは数日前とのことで エンジンチェックランプが点灯したっきり

マニュアルでは以下の原因が考えられる。

オーナーは事前に金沢の輸入車ショップG-Foxさんで診断機をあててもらい
DPF差圧センサーが怪しい、またはDPFフィルターのつまりの可能性 との診断を受けています。

オーナーさんから里親のにしやんに連絡があり ではみてみようということに。
日曜 当方に到着してから すぐに試乗してみる。
なるほど、走り出しは問題ないが、オーナーさんの言う通り、それ以降の加速、つまりターボが効いていない感じで、タコメータが2000回転以上上がりません。つまり、CDIのあの猛烈な加速が全くありません。いつもなら時速80kmぐらいまで この重たい車で ものすごいトルクと加速を見せるのですが、それがない。
でもこれで普通に乗れちゃうんです。
海外で言われている LIMP MODE に入っちゃっているみたいです。(本当のLIMP MODEは2速固定になってシフトアップしなくなるみたいです。このときはスワールコントロールモーターがおかしくなっているjことが多いとか・・・)


この車は通勤で毎日往復80kmを巡行走行しておりノロノロ運転はあまりしていないので DPFつまりはあまり考えられないのです。
うちに純正品の差圧センサーがあるので まずはそれに交換してみようということです。

試乗の後
自分の持ってる診断機 VgateMaxiScan VS-890 をペダル周辺にあるOBD2コネクタにつなぎ、オートスキャン。結果2つのエラーコードあり。

え?EGRバルブのソレノイド(電磁弁)かぁ?
ソレノイドへの配線?ソレノイドが動いていない?つまりEGR(排気ガス再循環装置)の弁が閉じたままか?
接触不良なのかな あるは断線か
ショップではDPFの差圧センサーということだとオーナーさんから聞いたが・・・

もう一方のエラーコードP1405は、この診断機じゃ 難くてわかりませ~んと出ました。(笑)さすが安い診断機
ネットでP1405のコードを調べると 情報が少ないが、DPF関係のエラーらしい。
輸入車ショップのいっていたのはこれか。
まぁ、こちらは安い診断機、向こうは高い診断機だから ひとまず差圧センサー交換です。

ネットで調べると
P1402 EGR Function Open
P1405 DPF EGR Sensor Circuit High Voltage Detected
このDPF EGR Sensor Circuitというのが、差圧センサー回路のことだろう。

同時にEGRバルブも点検しおこう。
後で調べてわかったが、EGRバルブと差圧センサーは密接な関係にあり、
こちらの記事が参考になった。

DPFの入り口圧力と出口圧力を差圧センサーが監視しており
その変化する値によって、エンジンコンピューターはEGRバルブを開いたり閉じたりする命令を出す。
差圧センサーに問題があれば、EGRバルブのエラーとセットで出てもおかしくはない。


だいたいの予想がたったので
作業にいきましょう。

これがEGRバルブ。ターボユニットの横にあります。
そのコネクターを外す。

取付ボルトのトルクスE10を2本外し 先尖りのドライバーを合わせ目に突っ込んでバルブを取り外した。
排気ガス循環装置なので 中の通路はススで黒いが つまりなどはなく、乾いた感じ。こんなものだ。

これがEGRバルブの弁 閉じた状態 (掃除後です)

開いた状態。開くと排気ガスが再循環されるしくみ

弁を開閉するのはモーター動きで。閉じた状態

開いた状態。

オーナー氏に ススで汚れたバルブをきれいにしてもらいました。

私は接点復活剤をコネクタ端子に塗布
どれかの端子に12Vを印加すれば ソレノイドが動くのかもしれないが 配線図情報がないのでできない。
このまま戻そう。

そしてジャッキアップして 下にもぐり アンダーカバーを外し
差圧センサーを外します。矢印が差圧センサー。コンパニオンプレートのそば。


外した差圧センサーは OEM品(大陸製)。半年ほど前に予防整備にと 交換しておいたものだ。
そのときに取り外して保管しておいた純正品の差圧センサーと比較してみた。
抵抗値を測定してみる。
汚いメモだが すごい違いが出た。
1,2,3番のピンがあるが、それぞれで抵抗値を測定した結果
OEM品は1と2で抵抗値が出ず 断線していたことがわかった。
その他の値も、純正品と比べるとめちゃくちゃだ。
純正品のほうはいずれも同じような値が出ている。半年でダメになったか。
P1405 DPF EGR Sensor Circuit High Voltage Detected
というのはこのセンサがダメになってるため出たエラーコードだろう

すぐに純正品に戻す。

取り付けました。

このあとEGRバルブも戻し、ジャッキアップついでに下回りの点検。

ATFオイルパンからのATF漏れ始めがあったのでオイルパン取付ボルトを増し締め。

アンダーカバーを戻し、タイヤも付けなおし、ジャッキから降ろす。



エンジン始動。
まだ エンジンチェックランプはついたまま。
OBD2診断機をもって そのままの状態で試乗へ。
症状はまだ治っていない・・・。やはり加速しない。
1㎞ほど走ったところで停車し、OBD2コネクタに診断機を接続。
オートスキャンでまた同じエラーが出た。まぁ、エラーコードのクリアしていないから当然といえば当然。
ここで、エラーコードのクリアーを実行するためにいったんエンジンを切り IG ON様態に。
クリアーDTCを診断機で実行。実行成功の表示。
エンジン再始動すると、エンジンチェックランプは消えた。(ヨッシャ!)
ふたたび試乗へGO
するとどうだ、こんどはしっかり加速し、本来のE320CDIの胸のすくような走りに戻ったではないか!
やった~!
オーナーに試乗してもらい、以前の状態に戻っているとのこと。
やっぱり部品を交換しても 診断機でいったんエラーコードをクリアしないといけないんだね。
昼飯抜きでやってたので そのままビックマックを食いにMACへ。
オーナーさんは高速道で金沢へお帰りになられました。道中も問題なく元気に走っていたそうです。
お土産のビール詰め合わせ、おいしかったよ~ん!


さて今回はDPFの差圧センサーの交換で、EGRバルブの清掃と端子へ接点復活剤ぬりで治りました。
直接的な原因は大陸性の粗悪なセンサーだったと思います。
センサーは交換する際はちょっと高くても 純正品にしましょう。
あと、現代車の診断修理ではやはり診断機は欠かせないという事です。

W211 リアエアサス 状態点検2022年01月21日 19時50分03秒



W211のサスは、フロントがコイルスプリング、
リアがエアサスとなっている。車高を自動で調整してくれるもの。
ステーションワゴンのラゲッジスペースに重いものを積んでも、リアが下がることはない。


エアサスは空気をゴムのエアバッグの中に送り込んで、サスペンションの役目をしているわけですが。
ここからエアバッグの劣化ヒビワレ等による空気の漏れがあると 車高が落ちてしまうことに。
W211乗りの鬼門の一つ。
左右交換でなかなか大きな出費になるのだ。

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正規品エアサスに比べて 安く品質も良い社外品のアーノット製のエアサスを使う事例が良くみられる。
ネットでも購入可能だ。
https://item.rakuten.co.jp/auc-palca/ant00015/?sid=shop_header_reco&rtg=ee46d9bf940a451a4e61c7b4b23046e8
https://item.rakuten.co.jp/g-cr2012/m073/
左右で8万ほど。


アーノット製品を使うにあたっていくつかのコツがあるようだ。
sea-on さんの動画が参考になる。
https://youtu.be/80RXz_E_Zp4 交換の実際
https://youtu.be/85sXhcOpJzc W212での交換の実際
https://youtu.be/aR0AvXkb5Qo アーノットのエアサス
https://youtu.be/Nkr_U4KUZz8  1:27あたりからアーノット装着失敗例

また、エアサス装着にあたり、エア抜き指示と会え充填指示調整にはMBの診断機DASをつないで行う必要あり。
だから素人にはテが出ない。最近の車は診断機がないとねぇ・・
DASを大金はたいて買うのもなぁ。。。




このエアサスをやめ、コイルスプリング式に替えてしまうのもテの一つだ。
https://item.rakuten.co.jp/g-cr2012/m070/
この際は、エアサスにエアを送っていたエアサス用コンプレッサ(左フロントホイールの前あたり、左ヘッドライトの下あたりにある)に無駄なエアを送らせないようにそのヒューズをヒューズボックスから抜いてしまうという事らしい。



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さて
この13年たったE320CDI、現在95000km走行。 エアサスは未だ交換していないはずだ。
いずれは交換となるだろうが、いまではない。
が、あと3万キロ持つかと言われれば、・・・どうだろう。

譲渡する前に せめてリアのエアサスの状態を点検しておいた。


一晩おいた状態で エンジンをかけていない状態で地面からホイールアーチまではかる
63.5mmほど。エンジンをかけると、エアが充填されるのか、少し1㎝ほど上がる。
右の方は少しエアもれしだしてるのか???

タイヤを外した。左リアのエアサス。

保護カバーはもう劣化で千切れて 中のエアバッグが見えている。

この折れ曲がり部分でひび割れなどを起こしエアもれする事例が多いようだ。
まだそのようなひび割れはみあたらないが。

エアサス上部のエアチューブさしこみ部分

こしらはセンサー部分か。




右リアの測定。地面からホイルアーチのトップまで65cm。
エンジンをかけても高さはほとんど変わらない。
右側は状態がいいのか。

右リア エアサス部分を見る。
やはり保護カバーは破けているが。

こまかいひびわれのようなものはない。


なにか工夫してエアバッグを砂埃や自ら保護するカバーをつけたいところだ。
走すれば劣化の進行も遅くなるのではないか。



いずれにしても、エアサスが抜けていく兆候は、ときどきエンジンをかける前にリアの車高を気にして落ちてきてるかな??と思ったらまたここを点検したらよさそうだ。
そして完全に抜ける前に 交換しちゃうことだ。
もし完全にエア抜けて車高がぺっちゃんこになると 自走での当地ガレージまでの移動はなかなか難しいよ。
その時はエアサスやめて 安いコイルスプリング式に交換だな。
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ヤフオク!で出品されていた中古のW211エアサス。2000円。
購入してエアもれ延命措置の研究するか。
ット製 リアエアサス 左右

W211 HIDヘッドライト点灯しない修理(バラスト水没が原因!)2022年01月19日 09時33分49秒

電装系ライトがらみでもう1件。

E320CDI のヘッドライトはキセノンヘッドライトだ。
オートライト機能、自動レベリング機能があり、なんといっても明るいので大変気に入っている。


しかし、2020年の夏ごろ、右のヘッドライトが点灯しなくなった。

バーナーが逝かれたと思い 4800Kのバーナーを購入。


もとのバーナーについて居たいた樹脂製のアタッチメントを移植してはめる。

このさい左右ともに交換する。
まずは から焼き2分。メッチャまぶしい!

ヘッドライトに装着したら、ちゃんとついた!


しかし!である。

その後 試走していたら、やはり右ヘッドライトが今度はついたりつかなくなったりした。
どうにも不安定だ。
おかしいぞ!大陸製の安いバーナだからか?

バーナーを左右入れ替えてみてみたりして、バーナーは正常であることが判明。

原因はどうもバーナーではないようだ、
ネットで調べたら、バラストがどうもあやしそうだ。

バラストを確認のため、底板外す。

右ヘッドライトの下 こうなっている。
銀色のあれがバラストだ。
わかりやすい位置にあってよかった。

トルクスねじ4本を外し、下に引き抜くだけ。


ヘッドライト側の楕円型のコネクタ部分を見る。


よく見ると、コネクタのところが白っぽくなってる・・・?


なんと!バラスト内部に水がたんまり入っていた!
バラストを手でぶんぶん振ると、水が限りなくコネクタから出てくるではないか!
なかはほとんど水浸し状態!
ヘッドライトのコネクタ側から雨水でも入ったのか?
青空駐車で 雨多かったのが原因?

外したバラスト。



どっちにせよ このバラストはもう使わないので グラインダで強引に蓋を切って中を見てみた。

焦げ跡が・・・

ためしにこのバラストを乾かして装着してみたが、ヘッドライトは点灯しなかった。
焼き切れている。


で、バラストをいつもの便利なeBayから購入。
番号同じものをさがして。

大陸製ですな。

番号は同じ。


コネクタ部分の成型クオリティは純正品とは比べ物にならない。
バリがあったり、ピンが不ぞろい気味で・・・
ピンをきちんと整えてから装着しよう・・・

奥の純正と 手前の大陸製OEMの比較。
ヤナセで買うと3諭吉するよ。今回の品は6000円。

ヘッドライト側のコネクタも白い粉を丁寧に掃除、細いピンを抜き差し。接点復活剤も塗布。

ピンが細く、腕を伸ばし切っての装着なので、呼吸を整えて 慎重に装着した。
変な抵抗感はなく サクッと入ったのでこれでよしとする。
右ヘッドライトはこのように下にスペースががらあきなのでとても交換しやすいが、
左ヘッドライトユニットの下にはいろんな部品が取り付けてありるので苦労するはずだ。多分へッドライトユニットを外さなくてはならない。


で、バラストを交換して無事に点灯! 
問題は耐久性だが・・・

このあと、現在まで2年半以上、雨でも雪でも、安定して問題なく点灯しています。^ ^ ヨカッタ

問題は何でバラストの中に水が入ったか、だ。
コネクタ部分はちゃんとオレンジ色のゴムで防水シールされているから、ヘッドライトの中から水が入ったとしか思えない。
思い出すことは、2020年の蒸し暑い夏は、大雨も多く、青空駐車だったので、ヘッドライトの中がかなり水滴がついて居たことを思い出した。ヘッドライト内に水滴がつくこと自体が問題だが、これは輸入車あるあるである。
その水滴が下に流れていって、やがて上向きについて居るバラストのコネクタ方へ流れていった、というのが推測である。
その後 青空駐車から雨のかからないカーポートに駐車にした。
ヘッドライトには特に何も対策はしていない。

ヘッドライトのレンズにどこか水が入るところがあるのかもしれない・・・。
W211を雨ざらし駐車の方は、いやそうでなくても、ヘッドライトレンズの曇りや内側についた水滴がこのような悪さをすることがあるので、要注意だ。(バラストのコネクタを上向きにつけないでほしいな~)

W211 E320CDI テールランプ球切れ修理2022年01月19日 07時14分32秒

E320CDI修理記録。
今回はテールランプ切れの修理のコツを。




ある日、エンジンをかけたら メーターに警告が オンパレードとなった。



これらがどんどん出てくる!何だこりゃ!
続いてこれ。 ダイヨウランプテントウとは??


テールライトがどうにかなってしまったようだ。
ライトをつけて後ろから見てみた。
テールランプのついている位置がいつもと違う。ブレーキ/テールランプは外側のはずだ。
どうもテールランプ電球が切れてしまって、その代用として、内側のランプ(リアフォグ)が代用として点灯しているようだ。メータはこれを告げていたのか。
ランプが切れたら切れっぱなしではなく、
そのバックアップシステムが働くしくみになっていることにまず感動!
さすがメルセデス。


球切れならば ちゃちゃっと交換だね~と軽い気持ちでテールランプを外す。

内側からいくつかのナットを外すだけ。


調べると、どうも左ではなく、右側の方だけが切れていた。
さ~電球交換~と思ってみてみたら・・・ん・・・・あまり見たことのない形状の電球だ・・・

フィリップスの16W??
こんな電球、どこのホームセンターや オートバックスに行っても、ない!
ネットでも見つからない。

海外 eBayにはあったが、ランプだけでも結構高いぞ。これに送料、乗るからな。


かといって、日本製の小糸とかの電球につけかえる加工もあまりしたくない。
ワット数が違うのをつけたりすると絶対に、メーターに何かの警告が出そうだ。
そもそも16wって...ないし。


しょうがなくこの部品買ってのまるごと交換になるのか???
球切れ一つでこの騒ぎ。
なんとも輸入車あるあるである。日本の常識が通用しない。

しかし電球1個切れただけでこの出費はどうにも納得がいかない。
なんだかがぜん、なんとかして安く直してやるモードになってきた。

こちらはW211セダンのテールユニット基盤。

ここを見ていて気が付いた。
電球ソケットの周辺部分だけ切り取って 移植すればいいことに。(気づきが遅い!)

そこで、なるべく安いユニットを調達すべくヤフオクで中古をあさると、
W221のSクラスでも同形状の電球であることがわかった。
同時代のEやSクラスにはみんなこれが使われているらしい。当時ダイムラークライスラーのお偉いさんにフィリップスの営業攻勢でもあったのだろうか・・・・。
テールライトユニット500円とは安い!これを買ってもぎ取ろうか。



結局、S211(ワゴン)のテールランプユニットの安いのがタイミングよく出てきたのでそれを落札し、そこから電球部分もぎ取り移植した。
もぎ取らずそのまま使わなかったのは、落札したものはブレーキライトがLEDに変更となっているもので、最テールランイトアッシーで取り付けたのだが、ワット数が合わないのか、またメーターに警告が出たからだ。


ソケット下の金属板ごと移植した。
オレンジ球を移植しているが、実はテールライトを赤く光らせるには問題ない。

適当なコードではんだづけ工作


完成。
右側がウインカー。今回移植したのは左側で、赤く光らせたいテールランプだ。


ユニットに取付けた


おお、無事に赤く点灯してみえる!代用ランプも点灯しなくなった。
ウインカーのオレンジ色と比較してもはっきりと赤色だ。
中身はどちらもオレンジ球なのだが。


これがS211本来のブレーキ/テールランプの位置だ。
赤いレンズカバーなので、中の電球がオレンジ球であっても、外からは赤く光って見えるので問題なし。

211乗りの方は日ごろからヤフオクで安いテールランプがでていないかをチェックし、同じタイプの電球予備を用意しておきましょう。(笑)

しかしなんでこんな特殊な電球を使うのか・・・小糸とかにしてほしい。
やっぱ輸入車は一筋縄ではいかない。
だから面白い!!!^^

以上 W211の球切れ対処のTIPSでした。

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2023.2.7追記
ソケットが外せないとの質問がありました。
にしやんは先尖りの道具で 無理やり力業でバキッと外してわかったことですが
黒ソケットは金属板(配線)に溶接されてしまっているので 外せない仕様になっています。
ですから、ソケットやバルブ球を外す必要はなく
下図のように金属板をカットして、金属板とソケットがくっついた状態で移植しました。
移植して金属板が浮くようなら 5分硬化型の2液エポキシ樹脂などで金属板をベースの白いプラスチック台に固定してしまえばいいでしょう。

W211 E320CDI ATF交換、ATバルブボディオーバーホール その42022年01月18日 09時01分29秒




E320CDI 7速AT 722.9 ATFの交換(注入)。

あたらしいATFフィルタは はめ込んだ

オイルパンも取り付けた。


今回はトルコンからも抜いた全量交換なのでMB純正ATFを10リットル購入。
SPEED JAPAN から。
オイルパンからDIY下抜き交換するだけの方はトルコンやATFクーラー配管の分は残るので、いわば部分交換になる。これを何度か繰り返して新しいATFに徐々に置き換えていくやり方だと思うので、新しいATFの割合を高めていこうと思えば、注入するATF量はトータルで10L以上使うかもしれない。

1本1L 2500円ぐらいでした。


ATFの注入はオイルパンの下、ATFを抜いたドレンの穴から入れることになる。
下抜き、下入れだ。
昔はATFレベルゲージとかあったんだけど、最近の車のATはそれがないのだ。


そこでATFを注入するための注入口プラグが必要になるので自作した。
ホームセンタで代用できるものをエアホースカプラや継ぎ手のコーナーで結構探したがねじピッチなどの関係で見つからない。
そこで、取り外したATのドレンプラグと自宅ガレージにあるものを加工してつくった。
今回ドレンプラグは新品を買ったので、古い722.9ドレンプラグと、ガレージの廃パーツ入れにあったバンジョーボルトを ともにボール盤で穴あけして、2つをハンダで合体した。
バンジョーボルトの横穴は適当にシールテープでふさいだ。アルミテープやビニテでも良かったかも。

ドレンプラグに穴さえドリルであければ、あとはバンジョーボルトでなくても、適当なもの、なにかホースに接続できる口金をハンダか接着剤等で合体させてしまえばよい。


手でかるくはめるのみ。多少ATFが漏れてきてもどうせまた外すので問題なし。

ホースをつないでこのように使う。


モノタロウで買った手動式 ピストンポンプでATFを圧送。 問題なく使えた。

全量交換の場合、9Lほど入るはずなので、まずATFを5Lほど入れた。
全量の5割ほど。
これだけでオイルパンの中はいっぱいっぱいだろう。


補充のホースはつないだままで、エンジンをかける。
エンジンをかけたらすぐにオイルパン内のATFはバルブボディやトルコン側に吸われていってなくなるので、ATFを追加で圧送する。4Lほどか。
その後、シフトレバーを P~R~N~Dへ、そしてマニュアルモードの - D +操作 (1,2,3,4,5,6とメーター表示される) のシフト位置に入れて各1分ほど保持し、ATFをバルブボディにいきわたらせた。


そしてまた エンジンはかけたままでATFを注入していく。追加でもうすこし・・
合計10L入れたわけだが。
これでAT内は満タン以上になっているはずだ。
AT内部だけじゃなくて、ATFクーラーに回る分とその配管内部の量も併せてということだ。


アイドリングしている間も、エンジン、ATFはすこしづつ温まっていく。
ここで赤外線式の温度計でATFの温度を測る。オイルパンの一番温度の高い部分をさぐる。
ATFの交換では、プロはMB用診断機 XENTRY DASというコンピュータをOBDⅡコネクタにつないでATF温度をモニターするらしいが・・・。
高価なDASを持っていない素人はこいつで測定するしかない。
あとで実際に排出したATFの温度を温度計で測定してみたが、赤外線式温度計とまったく同じ温度だったのでオイルパンの外から計測してもOKと判断。
そして以下に述べるこの方法で交換しても、現在もATに異常はなく、まともにE320CDIは走行している。

さてアイドリング状態で徐々にATF温度は上がっていく。
45度までに持っていきたい。
なかながあがっていかない。手待ち無沙汰なのでここでもう一回シフトを前述通りに操作した。

ATF温度が45度になってきた。
このあたりは多少温度差があっても良い。ATF量は35~55度の範囲でレベルチューブの上限までにするという事らしいから。ATFの熱膨張で体積が変わるからだろう。そんなに2,3度違っても?!というほどシビアなものでもないと思う。
晩秋の作業で、気温10度あたりで エンジン始動からアイドリングだけでATFオイルパン温度が45度になるまで20~30分という感じだ。


45度に達したらここで圧送ホースを外す。ATFがドレンからどぉ~っと落ちてくる。これでいい。
レベルチューブを超えて入っている 余分なATF が出てきているのだ。

だんだん 細い線になり出なくなくなってきた。
レベルチューブの上限近くになってきているということだ。もう抜かなくていいだろう。

レベルチューブの上限近くまで落ちれば、ATFは徐々に落ちなくなってくるので、
そこで注入プラグを外し、ATFのしたたるなか 新品のドレンプラグで締める。
ATF量はこれで良しとする。

ここでエンジン停止。
ATF補充は以上である。
ドレンプラグ周辺はパーツクリーナーできれいにしておく。


落としたATFはまた使うこともあるかもしれないので
クッキングペーパー リード でごみを濾しとり、容器にしまっておいた。

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ジャッキからおろし、エンジン始動、各シフト操作に違和感ないことを確認。
では試走に出る。Let's Hit the Road!


アクセルを踏んで走り出し。
おお、ちゃんと走る(あたりまえ)
で、1~2速へのシフトアップで、結構なショックがグン!と来た。
むむ!?
これは?!
2~3速へのシフトアップもそれなりに大きい変速ショックがトン!と来る。
むむむ!
何か失敗したか>< ?? 汗
暗い気分になりつつ20分ほどの試走を終えて(この間もシフトアップでのショックはそれなりにあったりなかったりで いつもと違う感じだ・・・)、
ちょっと宅急便センターに届いた荷物取りに行って駐車場でエンジン停止。
この間15分のエンジンお休みとなった。

再びエンジン始動で走らせる。
するとどうだろう、先ほどのソフトショックが出ないではないか!
つながり具合も以前のようになめらかである。
あ、これは!ATがシフトタイミングを学習しなおしたのかな!?一度エンジンを切ったのがよかったのか。
ATF全量交換したりバルブボディを外したりしていると、こういうことが起こるのかもしれない。(ATFのみ部分交換だとこういうことは起こらないと思う)
その後もう一回エンジン停止してしばらく置き、再始動。
自宅に着くころには、変なシフトショックは完全になくなっていた。良かった。


さて、冷間時のシフトアップ時に感じ始めていた「つながり具合の違和感」はどうなったか。
これはいったんエンジンが冷えてから見てみないとわからない。
翌日。
早朝から試走に出ると、気になっていた冷間時の2~3速へのシフトアップ時の「エンジン回転が一瞬ブワンとアガリつつの つながり」の違和感はなくなってた。
よかった。!
ソレノイドの掃除が効いたのかもしれない。なんにせよ、今回の整備が功を奏したlことには間違いない。

その後、数か月乗りましたが、ATの挙動に変な動きはありません。^^
良かった良かった


今後、車検の2年を目安に、あるいは2万キロごと程度を目安に、どちらか速いほうで ATFは定期交換していけばいいと思う。
あとは常日頃の丁寧なATシフト操作と、急のつく運転をしないことだ。





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振り返り。

もともと今回のAT整備にふみきった理由がいくつかある。
①冷間時のATのシフトアップ(2→3速)のつながり時に一瞬回転が上がる症状が出始めた
②冷間時の2速から1速へのシフトダウン時にクン!とショックが来るようになってきた。冷間時だけ。
③ATF交換履歴が不明で、ATFを少し抜いてみたらそれなりに黒かった→きれいにしたい欲求がおこる
④クランクシャフトリアシールの交換もあり トルコンも外したし、ジャッキアップもしているついでにやれば楽だとおもった。
以上のような理由でバルブボディのOHとATF全量交換に踏み切った。

これらのような理由がなければ、別にAT挙動に変なところがなければ、なにもこんな苦労はしなくてもよい。
寝た子は起こすな、である。
でも気になる、という人は、まずはATFを少量抜いてみて色合いを見てみれいい。
汚れていても、動作に問題がなければ交換はしないほうがいい。
それでもメンテしたければ、自分でDIYしなくても、今はトルコン太郎とかいうすばらしい装置でATF全量交換と内部クリーニングをしてれるショップもあり、おおよそ10万円払ってもそちらのほうがよっぽど信頼がおける気がする。

輸入車のDIY修理歴25年になるが、今回の走行距離9万キロ時点での S211 E320CDI 7G-Tronic 722.9 のバルブボディOHは おもったほどむずかしくはないと感じた。
上下のバルブボディにはさまる中間プレートが金属製なのがいい。紙のガスケットでないので。
チェックバルブなどもそんなに多くはなかった。


問題が起こるとすれば、コンダクタープレート、つまりコントロールモジュールの方が多いのではないか。
車速センサーがだめになっていたりとか・・・・(診断機が必要ですが) だったら数万円でプレートを交換すればいいわけで。


かかった費用は一番高かったのが10Lの純正ATFで3万円。
あとはオイルパンガスケット、ATFフィルタ、ドレンプラグ、その他のバルブボディの交換チューブ類やオーリング等で1万。
部品代で合計4万円という事になる。


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いずれにしても、この7G tronicはとてもフィーリングのいいATだと思う。
今まで乗った車の中でも 自分の中では1番のATとランク付けした。
2000年代初頭のAT多段化の草分け的な存在だが、燃費向上にも貢献し、
V6-3000ccのクリーンディーゼル OM642エンジンとも相性が良い。
いいAT作るよな~メルセデスは。

何といっても、変速時のショックがほとんどない、あるいは、とてもマイルドなのがいい。
変速ショックは当然あるのがだ、それに「カド」がないといいうか、高級なATという感じがします。
そのフィーリングが Eクラスという高級車の車格にあっている。
変速ショックをいつも感じる車って、心理的にも疲れやすいんですよね。
僕は変速ショック感じるたびに、「あ~またATが劣化していく・・・」という想いがどこか心の隅におこってしまう・・・。
変速ショックが気持ちいい車は、乗ってて気持ちも良いのだ。


また、メルセデスの7G-TronicはATのマニュアルモード操作のときは左右にシフトレバーを動かす方式なのが良い。
他メーカーではシフトレバーを前後に動かしてシフトダウン/アップ操作を行うものあるが、これはやりにくいと感じるようになった。
この7G-tronicでは、下り坂でエンブレを効かせたいなど故意にシフトダウンしたいとき、ハンドルから手を放してシフトレバーに手を持っていく流れの動きのまま、シフトレバーをトン!と助手席側に押せばシフトダウンしてくれるので、かんたんに一つの動きで一発で決まるのだ。カンタン、明快。
(まぁ最も簡単いいのはハンドルについたパドルシフト操作なのは言うまでもないが・・・)
前後の操作方式だと、いちどシフトレバーを握って、次に前後に押す別の筋肉を使うので一瞬できまらないのだ。(常にシフトレバーに手を置いて居れば別ですが)

しかもこの7G-toronic,シフトアップダウンのその左右操作時のタッチがシフトレバーの反発スプリングがいい具合に効いていてじつにいいフィーリングなのだ。シフトレバーのトップ部分も、触り心地がとてもいい。細かい梨地になったアルミ部分が指先に触れて年ともいえない感じですべすべしており、触り心地がいいので運転中にいつもここを無意識に触っている自分に気づく。^^
こういった操作系の「タッチの良さ」が、あ~Eクラスだな~と思わせてくれます。


欠点としては、距離を走った7G-Tronicでは、個体によっては、朝の冷間始動時など、エンジン(ATF)が冷えているときに2速から1速へのシフトダウンのとき(時速10kmほどか)、クン!と軽いショックが来ることがあることだ。
たとえば赤信号にさしかかってゆっくり惰性ですすみブレーキをそ~っと踏んで停止するときなどによく感じる。自分の320CDIもそう。
ブレーキを強めに踏んで停止するときはこのショックは無い。また、水温計が60度以上になればこのショックは徐々に消えていく。ATFが冷えているときだけの症状だ。朝エンジンをかけて最初の10分だけの症状だ。まぁ すべての7Gにこれが起こるわけではないので参考までにということで。

以上、DIYされる方のご参考までに 写真多めで詳しく書いてみました。
みなさん自己責任で成功を祈ってます。







W211 E320CDI ATF交換、ATバルブボディオーバーホール その32022年01月17日 08時39分01秒


E320CDI 7速AT 722.9
バルブボディの組み立てとATへの搭載編


では いってみよう。



灯油で洗浄の終わったバルブボディ

図の通りくみ上げていく。
バツ印は自分のバルブボディには無かったパーツです


外したチェックバルブやチェックボールたち
バルブはスプリングの動きを確認。

図を見ながら、本来あったところへを戻していく。
チェックバルブは上下あるので間違えないように。

洗浄した中間プレートも載せる。


た~くさんのボルトでバルブボディくみ上げ。
いきなり締め付けないで、まずは軽くとめて・・・

規定トルクで締める。8Nmほどだったと思う。
小さいトルク締めができるトルクレンチ必要。僕はトーニチ製を選択。この作業のために買った。
確実を期すために最初ボルトを外すときにボルトがどの位置まで回っていたかケガキなどで印などをつけておいて、トルクを測ってみるとよい。

これも組み込み。今シフトレバーがどの位置にあるのかを判別するパーツ。
バルブボディ搭載の時には、黄色い樹脂部分のU字型のところに、「AT側のでっぱり」をはめ込むことになる。

下の画像のDの位置の右上の「でっぱり」ね。


コンダクタープレートをそっと載せて、ボルト4本で固定。
これ自体が電子制御ATのコントロールモジュールだから、トルクをかけすぎないように。
ちなみに、中央に配置されている車速センサーなどは交換できるらしく、ヤフオクとかでも722.9のこのプレートを修理します、という人がいる。
また、このプレートにはバージョンがいくつかあり、品番は下の画像のVGS-NAG2とか大きく印字されている3とかの数字で判別するようだ。eBayなどでも良く出ている商品だ。



ちなみに以前修理したE320CDIのオイルクーラーのオイル漏れ修理でのガスケットキットもeBayで購入したもの。これは一式入っていて便利だったし、使っている今でも問題はない。あとの足りないショートパーツはspeed japanで購入した。
DIYする人はeBayのアカウントを取って、支払のためのPaypalにも入っていて損はない。というか、マスト。




このチューブも交換部品

カプラのオーリング2本も。

これらのショートパーツは「SPEED JAPANのサイト」でパーツ図を見ながらクリックしていって購入。
後で出てくる7速AT用の純正ATF10Lもここで買った。ディーラーで買うよりも安い。



マチカフェのカップに保管しておいたソレノイドを戻していく。フィルタースクリーンに詰まってた金属ごみをしっかり取っておいた。

本来の位置に。

はめ込んで抑え金具で締め付けるだけのもの。

このソレノイドバルブセットもeBayでもOEM品が比較的安く手に入る。
ただ、品質はどうだろう・・・?安すぎて怖い。
純正は20万近くか・・



組みあがったバルブボディ。これをATに組み戻す。


腕が疲れないようにバルブボディをジャッキで保持し慎重にあげていくわけだが、
組付けにはマルの2か所に注意する。


まずはATセレクターのギヤの部分に注意

矢印2か所、ちゃんとはまるように。
シフトポジションの位置と、でっぱりを黄色い樹脂のU字にはめること。


こちらEGSカプラの部分。
オーリングにはATFをまぶしてある。
上のAT側のはまり穴をねらってジャッキアップしていく


慎重に上げていく・・・もすこし


オーリングの抵抗を感じながら上げ、しっかりとはまった。

カプラの樹脂ツメが折れちゃったので、外れてこないように針金で固定。
ここは指が入りづらく、カプラの爪をはずすために細いドライバなどを使ってしまうわけだが、素人はみんな爪を折っちゃうんじゃないかな。DIYする人はここ慎重にね。


バルブボディをATに固定する10か所のボルトを締める。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
バルブボディを外さないで ATFとフィルタだけを交換するという人は
以下から読んでください。


新しいATFフィルターをはめる。
バルブボディの穴に差し込むだけでフィルタ側のオーリングが効いて落ちてこないようになっている。



オイルパンとマグネットもきれいにし、オイルパンのガスケットも新調。
レベルチューブも新品をはめる。

6か所をしめて完成。



(バルブボディ外した人は)EGSカプラ部分の保護カバーを取り付けて完了。




次回 最終回 その4は 
E320CDI 7速AT 722.9 のATFの補充方法と、試走です。

W211 E320CDI ATF交換、ATバルブボディオーバーホール その22022年01月16日 07時32分23秒

E320CDI 7速AT 722.9 バルブボディの分解と洗浄
分解洗浄編。

まずはバルブボディ外観 
エレクトリックプレート(1electric control module)側

その裏側

仕組みをよく頭に入れる。


ここからの分解~洗浄~組立の手順は、GARY氏の動画が参考になる。
https://youtu.be/PCG4plcPC_8


まずは8つあるソレノイドを順に外していく。














鉄粉のごみはマグネットで取る。エアブローしてはならない。
https://youtu.be/IG9OZACdx3c
01:30からの箇所だ。


次にプレートを外す。

プレートを固定するねじ4つを外す



ねじ4つを外してプレートを外した

保管。


プレートの外れたバルブボディ



シフトリンケージのこれもはずす




た~くさんのねじを外して、バルブボディを二つに分割した。

このピンは上限プレートの位置合わせのためにある

2つに割ったバルブボディの経路

中にいくつかのチェックバルブや・・・

チェックボール(スチールやプラスチック)などがある。

図で確認。


実際には図とは多少違っていた。モデルでバージョンがあるらしい。

バツの書いた部分は当方の車には無かった。

外したチェックバルブ。

外したものすべて。


もう片方のバルブボディ。

中間プレートにはスラッジがついている。

経路は詰まってこそいなかったが、部分的にスラッジの多いところがあった。

なお、バルブボディには20本ちかくのピストンとスプリングがこのように入っている。
今回これの分解はしなかった。


灯油で洗浄。軽くオイルストーンで面研磨。GARY氏に倣って。


自作のパーツ洗浄機。
昔乗っていたW202、初代C200で交換した古い燃料ポンプと燃料フィルター(交換の参考記事はこちら)を使用。12Vバッテリで駆動。

ロータリースイッチでオン/オフ


洗浄終了。この後エアブローで灯油を飛ばす。

その3に続く。

W211 E320CDI ATF交換、ATバルブボディオーバーホール その12022年01月15日 07時10分42秒

メルセデス独自開発の7速AT。
初めて聞いたときは7速もあるのか!と驚いたものだ。
このころからATの多段化がはじまった。



今回はATを分離したので、そのさいにトルクコンバーターからATFを抜いておいた。
小さなプラグがあり、(これが硬くしまっている!)、そこからATFを抜く。2リットルほど抜けた。
ATFの部分的交換をする人はトルコンから抜く必要はなし。

外したE320CDIのトルコン。ほこりなどが入らないようにビニルで包む。

ATFオイルパンからATFを抜く。
抜けるだけ抜いて・・・これだけではたいして抜けない。


次に長めの釘をヤスリで削って作った特殊工具(笑)をドレンの穴に入れ、内側にはまっている樹脂製のレベルチューブにブッ刺して上方向にコン!と打ち抜く。
釘の先っちょが刺さるほどにとがらせ、ちょっと横に曲げてあるのがミソだ。


オイルパンの中にあるレベルチューブを釘で押して外せると、さらにドドドとATFが落ちてくる。


矢印のトルクスボルトを外せばATFオイルパンが外れる。


オイルパンを外した。
ATFオイルパン内部に転がっているのがレベルチューブだ。交換する部品。
こいつを外したくて釘で特殊工具を作った。
この5cmほどの高さ分だけ、ATFが満たされているわけなので、こいつを釘で打ち抜かないとATFは抜けない。


バルブボディが見えた。ATFフィルタが見えるので外す。バルブボディに差し込んであるだけなので。そのまま下に引っこぬく。抜いたと同時に、またATFが出てくるので注意。

フィルタの表面には黒いスラッジが付着していた。


オイルパンの底を触る。そんなに鉄粉はつかない。


それもそのはず、鉄粉はみんなこのマグネットにくっついている。
それなりについてはいる。が、9万キロでこれならひどくはないと思った。
マグネットやオイルパンはきれいにしておく。また、オイルパンガスケットは交換。

・・・・・・・・バルブボディを触らずATFフィルタとATFの交換だけする人は、以下の作業の必要はなし。読み飛ばしてください。・・・・・・・・




一晩放っておいてATFのしずくを落とし切ったバルブボディ。これから取り外しにかかる。


外す前に観察と記録。
これをしっかりしておかないと後に組み込んだときにこれでいいのかなと不安になってしまう。

バルブボディの左側。
シフトレバーに連動して歯車みたいなプレートが動くしくみ。

外すときの位置を覚えておく。
たいていはシフトレバーがPに入っていてPの位置にあると思うが、下の画像はシフトのリンクロッドを外してあるためRの位置になっている。


上の画像とは逆方向から見ているが(バルブボディを外した後)
それぞれのシフトのかみ合い位置はこうなっている。


運転席側、電子制御ATのEGSカプラも外しておく。



いよいよバルブボディの取り外し。
矢印のトルクスねじ10本を外す。四隅だけのこしておいて・・・

下からジャッキなどで支える。それから四隅のボルトを外す。
ATFがまた落ちてくるので 容器でうける。

シフトリンクの部分もチェックしながらなるべく水平にさげていってやる。
支えが微調整できるジャッキがあるので作業がらくだ。

バルブボディはすんなり落ちてくるわけではない。
RGSカプラの部分はオーリングがはまっているので・・・木の棒でちょっとこじってやった。

外すとこうなっている。


バルブボディを外した後。


外す際に注意する箇所はシフトリンクとEGSカプラの部分だ

外したバルブボディ
これから分解して洗浄する


その前によく分解図を見ておく。
8つの電磁ソレノイド、樹脂製のプレート(コントロールモジュール)、
バルブボディの上と下、そして金属製の中間プレート、という構成だ。

次回 その2 バルブボディ分解編に続く

W211 E320CDI 差圧センサー予防交換、エンジンマウント&コンパニオンプレート点検2022年01月14日 08時24分47秒

E320CDIワゴン ATとエンジンを分離したのでついでの作業その1。

排気ガスの差圧センサーの予防交換だ。
ミッション後端あたりのボディ側についている。

配管が二つ伸びていて、マフラーの2か所に接続され、前後の圧力をセンシングしているようである。



まだ問題はないが、よくこれがだめになってエンジンチェックランプがついたという事例が散見されるので予防交換だ。

新しいものに交換した。その後、運転していても全く問題はない。
外したものは予備用に取っておこう。





続いて、コンパニオンプレートのチェック。
ATの変速ショックをゴムで和らげてくれるパーツ。

さすがにEクラス、厚みもあり、でかい。しかも穴が8つもある。(よくあるのは6穴)
大トルクのE320CDに対応しているのだろう。
ディーゼルの強烈な立ち上がりトルクにウットリしている運転手とが逆に、
このプレートは「ギャ~~!今にも千切れそうだ~~!」と、悲鳴を上げているのである。

しかしATのシフトショックが極上なのはこのゴム質がかなり貢献していると思う。
ちなみに、コンパニオンプレートは、プロペラシャフトの後端(デフの前)にもついていて、合計2か所ある。
ジャッキアップしたら亀裂がはいってきてないかチェックすべきところだ。

切れるが少し見えるがまだ使える状態。
とはいえ長くはない。
今はこのまま使います。
コンパニオンプレート、1枚、ボルト付属で18000円ほどです。(パーツのパルカ)





プロペラシャフトの中間にあるセンターベアリングサポートも点検。
ゴムのひびや亀裂などなく。問題なし。今のところ加速中に変な振動もないし。
ふたんここはアルミカバーに覆われていて見えないところだ。覆われているからこそ、劣化が少ないんだけれども。
以前乗ってたW202ではこの軸の周りのゴムが経年劣化で千切れてしまい、
運転中にひどいバイブレーションが起こったことがある。




続いてエンジンマウントのチェック。
定番の交換パーツともいえるが、この程度のつぶれ具合なら、もうすこし使えそう。
この中には制振のため 特殊なオイルが封入されている。
千切れたエンジンマウントでは、ほんとにエンジンが暴れる。そういう動画を見たことがある。
https://youtu.be/J_HMfRBHFYk
(5:40からがすごい!)
いまのところエンジンの振動などはひどくないし、ちゃんとマウントが仕事してくれている。
まだ交換しない。

クリーム色のシリコン製カバーは上から水が入らないようにする防水のためのものか。本来は白かったんだ思う。


メルセデスにはどんなパーツにも部品番号の刻印があるのがすばらしい


助手席側のエンジンマウント設置個所
 

こちら運転席側。奥に見えるオルタネーターの後ろ当たり。左手前の丸いのはステアリング。

エンジンマウント戻しました。もう少しお願いね。
エンジンマウントは左右セットで24000円ほどだ。(パーツのパルカ)



続いてATミッションの整備に移る。

少しだけATFを抜いてみた。(右側ビーカー内)
新品のATFと色合いを比べてみている。

次の記事は7速AT(722.9)関係の整備。
ATFの全量交換とフィルター交換、そしてバルブボディの分解洗浄だ。
最近、冷間時の変速ショックが気になり始めているのでどこまで改善できるかにチャレンジだ。

W211 E320CDI クランクシャフト リアオイルシールの交換2022年01月13日 13時25分07秒

これは2021年秋に行った修理記録です。

2008年 W211 320CDI 9万キロ。
定番の故障個所、オイルクーラーシール不良によるオイル漏れ修理のあと、快適に走っていたら、またオイル漏れしてきた・・・。

車体下を覗くと、「いつもの箇所」(四角囲み)が、どうにもオイリーだ。

で、自宅ガレージに入庫してジャッキアップして点検。

底板を外すと、やはりオイル漏れ。くぅ... 9か月前のオイルクーラー修理から立て続けか。。。



エンジンのここからオイル漏れ。
エンジンとATの合わせ目からオイルが出てきて(赤いやじるし)
そして黄色い矢印の部分に広がって、底板に滴下する。
たぶん、クランクシャフトリアシールの不良だろう・・・こいつはめんどいぞ・・・


この整備をするときはATミッションとエンジンを分離しなくてはならない。
そのためには、エアクリ、マフラー前半、プロペラシャフト、シフトリンク、ATFライン、こまごま配線類を外していかねばならない・・・
車の下にもぐっていろんな道具を使うので いっぱいそばにすぐれるように工具を置いておかねばならない!


いろいろ外して、
ようやくミッションジャッキの登場

トルコンとフライホイールの緊結を外し、やっとAT分離!

フライホイールが見えた

すぐに取り外し。丸一日作業・・・50半ばのオジサンには疲れるわ~


クランクシャフトリアシールがみえた。
シールの輪っかから漏れて、赤いやじるしの方向にオイルがたれていっている。
きいろい矢印箇所のねじ部分にたまった黒いオイルが見える


オイルシールカバーを外した
。液体ガスケットのカスもスクレパーでしこしこ取る。


外したオイルシールの観察。オイル漏れしてます。 経年劣化ですね。13年、9万キロ使用後。


SPEED JAPANから新品を購入。1万円ほど。
白い輪っかはシールの形状を保っておくもの。

この白いものを使ってもいいのだが、今後の整備もかんがえて、このさいeBayから特殊工具を購入。2万。
ベンツ用オイルシールインサーター。
このOM642エンジンのほか、直径が合えばいろいろなベンツの車種にも使える。
オイルシールのリップを痛めずに、きちんとクランクシャフトにはめるものだ。



カバーには、液体ガスケット、いつものウルトラカッパーを。
インサーターを丁寧にはめる。はめてしまったら、画像に見えているインサーターの上半分を取りはずす。


さて車体下にもぐって インサーターをクランクのフランジにはめる(直径ぴったり)。そして、オイルシールカバーの方をクランクの方向にすっとスライドさせるだけで挿入完了。
この工具のおかげで、はめるのが難しいシール挿入が 一発で決まる。^^
一発で無理なくはまるということは、オイルシールを痛めないという事だ。
折角交換しても、新品のオイルシールを痛めてしまって、またオイルが漏れてきては、時間と金と体力気力の無駄になるだけである。この工具なしでは、一発ではめることは難しく、大事なシールのリップを折り曲げたり、無理をかけたりしてオイル漏れの原因になる。
(画像は、シールカバーをエンジン側にスライドさせているところ)

シールがクランクにはまったら、工具を取り外す。これだけだ。

あとは規定トルクでカバーを締めるのみ。

もう漏れないでくれよ~


ついでにオイルでギトギトのオイルパンも外す。


ガスケットをきれいに取ってオイルストーンで磨かねば・・・

新しく液体ガスケットを打って・・・

再装着!オイルを入れるのは、シールが固まってから。

あとは折り返しでくみ上げていくことになる。
クランクシャフトリアシールの交換作業は、パーツ代は安いが、工賃がその10倍ぐらいするほど高いという「工賃割高修理」の代表みたいなものだ。
自動車整備工場なら、パーツが揃っていれば、いっきに1日作業でやるんだろうなぁ・・・

しかしものには「ついで」というものがあり、ここまでやったらついでにやっておけばいい作業もある。
次回はその紹介をする。