ジャイロアップのキックスターター修理2017年06月14日 22時45分02秒

通勤用のアシとして日常使っている三輪バイクのジャイロアップ。
セルモーターでの始動は問題ないのですが、セルだけでかかりにくいときはキックを何回か踏んで始動しています。つまりセルとキックを状況によって使い分けてています。

そのキックスターターがめっちゃ不調。
キックをしてもガラガラと空回りしてしまう。
なんとかだましだましエンジンをかけていたが、ついにまったくきかなくなってしまった。
なんとなく、ギアの歯が磨耗して「かんでいない」感覚は足元に伝わってくる。

とにかく、あけてみなければ・・・。
ホンダ史上最悪の整備性の悪さで定評のあるこのジャイロアップの駆動系をばらす。
ここまでばらすのに朝5時から7時まで。約2時間。ふう・・・

写真を撮り忘れたが、キックの力を伝えるドリブンギアの3つのツメがまぁるくなってかなり磨耗していた。
あ~あ、やはり予想通り・・・
(下の画像は対処後の画像ですのでツメがちゃんとできています)


それにしても、ジャイロアップ初期型(TA01)は、ツメが3つしかないというショボいつくり。
でもまたココが磨耗したら(何年後のことか)、ディスクグラインダと溶接機で加工して対処するのみ!

このパーツ(キックドリブンギヤ)はもう新品はないので、
磨耗したツメを削って加工し、ひっかかりがよくなるように「新たなツメ」を作ることにした。

下の画像のようにこれでちゃんと噛み合って、キックで得た回転を エンジンのクランクに伝えられる!(→キックで始動できる)
ポチッと点付け肉盛り溶接したドライブフェースに、ドリブンギアのツメがかみ合っています。

組み付け前にキックの仕組みを撮影。


くみ上げしてみて、さっそくキックスタートのテスト。
もはやキックの空回りはなく、がっちりツメが噛み合ってエンジン始動できました!
今回はトータル6時間の整備でした。

BMW1502キャブ修理 その12017年06月17日 23時36分25秒

BMW1502というのがある。
ほとんど外観は2002とほぼいっしょ。外観的に2002との違いは、サイドモールが省かれていることぐらいか。
BMW2002は排気量2000ccのエンジンを搭載する。
一方、BMW1502というのは「02シリーズ」の最終末期に製造されたモデル(1975-1977年)で、
ボア×ストローク:84.0×71.0mm、1,573ccでボア、ストロークともに2000ccよりも小さく短いエンジンを搭載するモデル。排ガス規制に対応した省燃費型モデルなのだ。
BMW1502。

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今回、その希少な1502を所有する知人から、
「キャブの調子が悪いので見て欲しい」との依頼があった。
その症状を聞くと、
・エンジンをかけるとキャブからガソリンがスロットルにボチョボチョと吸い出されており、エンストする。
・エンジンを止めても、スロットル内にガソリンがそのまま漏れ出し続ける。しばらくしたらガソリンは出なくなる。
・キャブOHをして約1年ほど。つい先日までは元気に走っていた。
・・・とのこと。
まず思ったのは、どうも燃料のオーバーフローのようだ・・・ということ。

車は整備工場に持ち込んだそうだが、メカニックさんには総合的に見て、やはりキャブがおかしいといわれたのこと。キャブをばらすひまがないのか、詳細がわからないからなのか、どうにもストップしているらしい。
ではキャブだけ外して工場からにしやんちに持ってきてくれれば いちど見て見ましょうということになった。
にしやんのマルニのキャブも同じソレックスDIDなので、何度もばらした経験がある。
少なくとも、うちのマルニに取り付けて、正しく稼動するかどうか、エンジン排気量はちがえども、
いろいろ比較検証してみてみることはできる。


・・・で、さっそくお持込に。
やはりうちの1974年BMW2002と同じ、ソレックスの2バレルキャブ「ソレックスDIDだ。
1600ccエンジンとはいえ、キャブは共通らしい。(ジェットなどのセッティングはちがうと思うが)
キャブを全体的に見ると、ウチのキャブよりも、ヤレは少なく、これは程度のいいキャブだと思った。

休みの土曜日中は仕事場の労働組合の用事があったので触れなかったが
フリー時間となった夜、お酒も飲まず、(笑)さっそくとりかかる。

まずは、観察、計測、チェックから。


プライマリ側の赤色文字やじるしのところから、燃料がボチョボチョと吸いだされちゃうという・・・。
本来、そんな状態にはならず、ガソリンはきれいな霧状になって吸い込まれるはずで、エンジンをふかすと、白い霧のように見えなければならない。
ボチョボチョと吸いだされちゃうというのは異常だ。燃料過多。

以前にしやんのマルニでも同様ッぽい症状があった、が、ミクスチャースクリューやスロットルストップスクリューなどの調整や点火時期調整で直ったことがあるが・・・。






外観だけをみて唯一、んん~?と思ったのがここ。
スロットルのストップスクリュの締め込みがされていなかった。(先端があたっていない)
が、ここが今回のトラブルの原因とは とうてい思えない。
ここは締めこんで、スロットルバタフライとボディーに0,65mmのスキマ(バタフライがわずか~に開いた状態)があれば、それでよし、なのだ。マニュアルでは、そうある。


調整スクリューのぐあいは特に問題ないように思うが、
こればかりはエンジンに搭載して稼動させてみないことにはわからない。
が、これも今回のトラブルとは直接関係ないように思うが。
ちなみに、にしやんのマルニのキャブでは、バイパスエアフクリューはほとんど「全閉」であるが・・・これも1502と2002のセッティングの違いか?





ちなみにオートチョーク機構も見てみる。

ココはうちのとほぼ同じだ、




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さてこれから、バラしていこうと思うが、
その前に、このままこの不調キャブをウチのマルニに取り付けて、いったいどんな症状になるのか
その不調具合をエンジンをかけて見てみようと思う。

BMW1502キャブ修理 その22017年06月19日 07時23分03秒

さてBMW1502のキャブの修理。
BMW1502のキャブ、ソレックスDIDを、にしやんのBMW2002に装着。
さっそく燃料電磁ポンプを稼動し(スターターはまだ始動していない)、ガソリンを送り出し。
10秒ほどすると(たぶんフロートチャンバーがガソリンで満たされる時間)、
なんと、ガソリンがキャブから ドバドバ~!!とあふれ出した!
動画はこちら
びっくりした!ああ、ガソリンがたまってる!!

これはニードルバルブが、しっかり閉まってなくて。バルブの役目を果たしていないのでは?

ということで、キャブをエンジンから外し、さっそくばらしてみる。
比較のため、にしやんのキャブもばらす。
「ドクロキャブ」がふたつ・・・(^^;)

問題の1502キャブ。


↓ここ。
黒いフロートの根元に、ニードルバルブがある。
ピョコンと飛び出ているシルバーの部分が、ニードルバルブの稼動部。


その稼動部は、フロートの根元のココの板で押されることで、燃料の供給(チャンバーへのガソリン供給)をコントロールしている。
フロートレベル(ガソリンがフロートチャンバーに溜まっているときの油面レベル)の調整は、この部分を微妙に曲げることで、ニードルバルブを押す具合を調節できる。

フロートの位置をホースにつないでチェック。
まぁまぁ、レベルは正しかった。
ちなみにガソリンが出なくなるフローと位置で、およそ18ミリが正常値だ。
だいたいこのとき、フロートは水平な状態となっているはず。

疑わしきニードルバルブを14ミリスパナで外す。
ん?
なぜか銅ワッシャが2個入ってるよ?

ふつうはワッシャは1個で十分ですが・・・。

疑わしい1502ニードルバルブ。外見ではとくに悪いようには見えないが・・・
でも、稼動する軸部分が横方向にガタがありましたねぇ。コレが原因かも。

裏側のニードルも見た目、おかしくはないが・・問題は中身ですが。


とりあえず、にしやんのキャブについていたものと交換してみよう。
ちなみに、にしやんのニードルバルブは2008年のレストアのときに交換済みの正常品です。

正常品のニードルバルブを組み込んでキャブを組み立て、燃料ポンプ稼動してみると
問題なし!ガソリンがあふれ出てくることははい。
やっぱりニードルバルブ不良が原因だった!
このあときちんとエンジンに取り付け、エンジンをかけてみる。
すると、(当然だけど)ちゃんと正常に動くではないか!
キャブのジェットの番手が違っていても、しっかりエンジンは動いてしまった。


多少、調整スクリュを調整して、安定したところを探ってみた。
下の画像で、それぞれ、最も締めこんだ位置からのスクリューもどし回転数を記す。
これは2000ccエンジンでの設定だから、1600ccエンジンでは、ちょっと調整が必要かもしれないので注意を。
とくにストップスクリューをいじるとアイドル回転数はすぐに変わるので、ここはあまりいじらす、ミクスチャースクリューとバイパスエアースクリュで調整したほうがいい。
これらの調整は、点火時期、排ガステスターを併用して、HCやCO値を見ながら、行いたいところ。これでアイドルは1000回転以下で安定、中~高回転域までも安定していた。
プライマリ側バタフライの開き具合、ミクスチャスクリュの先端はコレぐらいのでっぱりであった。これで500回転ほどのアイドリングでした。

お預かりしたキャブには、にしやんの二ードルバルブを組んだまま、お返しすることにする。
とりあえずは 車を預けた工場にキャブを届けてちゃんと動くかみなければならないので。

これはアウト。長い間、お疲れさん、です。後日、新しいものに交換しましょうね。
ソレックスDIDのオーバーホールキットは、
テクニカルトート神奈川さんから買うか、
ドイツのWalloth&Nesch から個人輸入ですね。

その他。
燃料ホースの導入部がすぐぬけちゃう(とれちゃうので)とりあえずモレ防止のため液体ガスケット塗布。
コレでぐっと押し込み、コン!とかなづちでひと叩き。
これでかたまれば、ガソリンはここからもれないだろう。

しかし、このチューブ、ひっぱれば、すぐに引っこぬけてしまうかもれないので、
今後ヌケ防止の対策は必要かも。(ソレックスDIDの弱点みたい)

これが抜けるとこわいよ~~!エンジンルームにポンプから圧送されてきたガソリン吹き散らすから・・・・

だから、この部分は、ホースで押さえつけるように取り付ける。
こうすると、絶対に抜けないのだ。

この↓画像はにしやんのBMW2002のキャブだが、
この部分からじわじわガソリンがもれてくると、やがてこうなる。
ガソリンの漏れた跡が赤く残る。(燃料用ガソリンは法律で色素で薄く着色されている。灯油などと見た目で容易に区別しやすくするため)

ということで、1件落着でしたが、にしやんも1502のキャブとの比較ができ、勉強になった。