W211 E320CDI ATF交換、ATバルブボディオーバーホール その42022年01月18日 09時01分29秒




E320CDI 7速AT 722.9 ATFの交換(注入)。

あたらしいATFフィルタは はめ込んだ

オイルパンも取り付けた。


今回はトルコンからも抜いた全量交換なのでMB純正ATFを10リットル購入。
SPEED JAPAN から。
オイルパンからDIY下抜き交換するだけの方はトルコンやATFクーラー配管の分は残るので、いわば部分交換になる。これを何度か繰り返して新しいATFに徐々に置き換えていくやり方だと思うので、新しいATFの割合を高めていこうと思えば、注入するATF量はトータルで10L以上使うかもしれない。

1本1L 2500円ぐらいでした。


ATFの注入はオイルパンの下、ATFを抜いたドレンの穴から入れることになる。
下抜き、下入れだ。
昔はATFレベルゲージとかあったんだけど、最近の車のATはそれがないのだ。


そこでATFを注入するための注入口プラグが必要になるので自作した。
ホームセンタで代用できるものをエアホースカプラや継ぎ手のコーナーで結構探したがねじピッチなどの関係で見つからない。
そこで、取り外したATのドレンプラグと自宅ガレージにあるものを加工してつくった。
今回ドレンプラグは新品を買ったので、古い722.9ドレンプラグと、ガレージの廃パーツ入れにあったバンジョーボルトを ともにボール盤で穴あけして、2つをハンダで合体した。
バンジョーボルトの横穴は適当にシールテープでふさいだ。アルミテープやビニテでも良かったかも。

ドレンプラグに穴さえドリルであければ、あとはバンジョーボルトでなくても、適当なもの、なにかホースに接続できる口金をハンダか接着剤等で合体させてしまえばよい。


手でかるくはめるのみ。多少ATFが漏れてきてもどうせまた外すので問題なし。

ホースをつないでこのように使う。


モノタロウで買った手動式 ピストンポンプでATFを圧送。 問題なく使えた。

全量交換の場合、9Lほど入るはずなので、まずATFを5Lほど入れた。
全量の5割ほど。
これだけでオイルパンの中はいっぱいっぱいだろう。


補充のホースはつないだままで、エンジンをかける。
エンジンをかけたらすぐにオイルパン内のATFはバルブボディやトルコン側に吸われていってなくなるので、ATFを追加で圧送する。4Lほどか。
その後、シフトレバーを P~R~N~Dへ、そしてマニュアルモードの - D +操作 (1,2,3,4,5,6とメーター表示される) のシフト位置に入れて各1分ほど保持し、ATFをバルブボディにいきわたらせた。


そしてまた エンジンはかけたままでATFを注入していく。追加でもうすこし・・
合計10L入れたわけだが。
これでAT内は満タン以上になっているはずだ。
AT内部だけじゃなくて、ATFクーラーに回る分とその配管内部の量も併せてということだ。


アイドリングしている間も、エンジン、ATFはすこしづつ温まっていく。
ここで赤外線式の温度計でATFの温度を測る。オイルパンの一番温度の高い部分をさぐる。
ATFの交換では、プロはMB用診断機 XENTRY DASというコンピュータをOBDⅡコネクタにつないでATF温度をモニターするらしいが・・・。
高価なDASを持っていない素人はこいつで測定するしかない。
あとで実際に排出したATFの温度を温度計で測定してみたが、赤外線式温度計とまったく同じ温度だったのでオイルパンの外から計測してもOKと判断。
そして以下に述べるこの方法で交換しても、現在もATに異常はなく、まともにE320CDIは走行している。

さてアイドリング状態で徐々にATF温度は上がっていく。
45度までに持っていきたい。
なかながあがっていかない。手待ち無沙汰なのでここでもう一回シフトを前述通りに操作した。

ATF温度が45度になってきた。
このあたりは多少温度差があっても良い。ATF量は35~55度の範囲でレベルチューブの上限までにするという事らしいから。ATFの熱膨張で体積が変わるからだろう。そんなに2,3度違っても?!というほどシビアなものでもないと思う。
晩秋の作業で、気温10度あたりで エンジン始動からアイドリングだけでATFオイルパン温度が45度になるまで20~30分という感じだ。


45度に達したらここで圧送ホースを外す。ATFがドレンからどぉ~っと落ちてくる。これでいい。
レベルチューブを超えて入っている 余分なATF が出てきているのだ。

だんだん 細い線になり出なくなくなってきた。
レベルチューブの上限近くになってきているということだ。もう抜かなくていいだろう。

レベルチューブの上限近くまで落ちれば、ATFは徐々に落ちなくなってくるので、
そこで注入プラグを外し、ATFのしたたるなか 新品のドレンプラグで締める。
ATF量はこれで良しとする。

ここでエンジン停止。
ATF補充は以上である。
ドレンプラグ周辺はパーツクリーナーできれいにしておく。


落としたATFはまた使うこともあるかもしれないので
クッキングペーパー リード でごみを濾しとり、容器にしまっておいた。

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ジャッキからおろし、エンジン始動、各シフト操作に違和感ないことを確認。
では試走に出る。Let's Hit the Road!


アクセルを踏んで走り出し。
おお、ちゃんと走る(あたりまえ)
で、1~2速へのシフトアップで、結構なショックがグン!と来た。
むむ!?
これは?!
2~3速へのシフトアップもそれなりに大きい変速ショックがトン!と来る。
むむむ!
何か失敗したか>< ?? 汗
暗い気分になりつつ20分ほどの試走を終えて(この間もシフトアップでのショックはそれなりにあったりなかったりで いつもと違う感じだ・・・)、
ちょっと宅急便センターに届いた荷物取りに行って駐車場でエンジン停止。
この間15分のエンジンお休みとなった。

再びエンジン始動で走らせる。
するとどうだろう、先ほどのソフトショックが出ないではないか!
つながり具合も以前のようになめらかである。
あ、これは!ATがシフトタイミングを学習しなおしたのかな!?一度エンジンを切ったのがよかったのか。
ATF全量交換したりバルブボディを外したりしていると、こういうことが起こるのかもしれない。(ATFのみ部分交換だとこういうことは起こらないと思う)
その後もう一回エンジン停止してしばらく置き、再始動。
自宅に着くころには、変なシフトショックは完全になくなっていた。良かった。


さて、冷間時のシフトアップ時に感じ始めていた「つながり具合の違和感」はどうなったか。
これはいったんエンジンが冷えてから見てみないとわからない。
翌日。
早朝から試走に出ると、気になっていた冷間時の2~3速へのシフトアップ時の「エンジン回転が一瞬ブワンとアガリつつの つながり」の違和感はなくなってた。
よかった。!
ソレノイドの掃除が効いたのかもしれない。なんにせよ、今回の整備が功を奏したlことには間違いない。

その後、数か月乗りましたが、ATの挙動に変な動きはありません。^^
良かった良かった


今後、車検の2年を目安に、あるいは2万キロごと程度を目安に、どちらか速いほうで ATFは定期交換していけばいいと思う。
あとは常日頃の丁寧なATシフト操作と、急のつく運転をしないことだ。





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振り返り。

もともと今回のAT整備にふみきった理由がいくつかある。
①冷間時のATのシフトアップ(2→3速)のつながり時に一瞬回転が上がる症状が出始めた
②冷間時の2速から1速へのシフトダウン時にクン!とショックが来るようになってきた。冷間時だけ。
③ATF交換履歴が不明で、ATFを少し抜いてみたらそれなりに黒かった→きれいにしたい欲求がおこる
④クランクシャフトリアシールの交換もあり トルコンも外したし、ジャッキアップもしているついでにやれば楽だとおもった。
以上のような理由でバルブボディのOHとATF全量交換に踏み切った。

これらのような理由がなければ、別にAT挙動に変なところがなければ、なにもこんな苦労はしなくてもよい。
寝た子は起こすな、である。
でも気になる、という人は、まずはATFを少量抜いてみて色合いを見てみれいい。
汚れていても、動作に問題がなければ交換はしないほうがいい。
それでもメンテしたければ、自分でDIYしなくても、今はトルコン太郎とかいうすばらしい装置でATF全量交換と内部クリーニングをしてれるショップもあり、おおよそ10万円払ってもそちらのほうがよっぽど信頼がおける気がする。

輸入車のDIY修理歴25年になるが、今回の走行距離9万キロ時点での S211 E320CDI 7G-Tronic 722.9 のバルブボディOHは おもったほどむずかしくはないと感じた。
上下のバルブボディにはさまる中間プレートが金属製なのがいい。紙のガスケットでないので。
チェックバルブなどもそんなに多くはなかった。


問題が起こるとすれば、コンダクタープレート、つまりコントロールモジュールの方が多いのではないか。
車速センサーがだめになっていたりとか・・・・(診断機が必要ですが) だったら数万円でプレートを交換すればいいわけで。


かかった費用は一番高かったのが10Lの純正ATFで3万円。
あとはオイルパンガスケット、ATFフィルタ、ドレンプラグ、その他のバルブボディの交換チューブ類やオーリング等で1万。
部品代で合計4万円という事になる。


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いずれにしても、この7G tronicはとてもフィーリングのいいATだと思う。
今まで乗った車の中でも 自分の中では1番のATとランク付けした。
2000年代初頭のAT多段化の草分け的な存在だが、燃費向上にも貢献し、
V6-3000ccのクリーンディーゼル OM642エンジンとも相性が良い。
いいAT作るよな~メルセデスは。

何といっても、変速時のショックがほとんどない、あるいは、とてもマイルドなのがいい。
変速ショックは当然あるのがだ、それに「カド」がないといいうか、高級なATという感じがします。
そのフィーリングが Eクラスという高級車の車格にあっている。
変速ショックをいつも感じる車って、心理的にも疲れやすいんですよね。
僕は変速ショック感じるたびに、「あ~またATが劣化していく・・・」という想いがどこか心の隅におこってしまう・・・。
変速ショックが気持ちいい車は、乗ってて気持ちも良いのだ。


また、メルセデスの7G-TronicはATのマニュアルモード操作のときは左右にシフトレバーを動かす方式なのが良い。
他メーカーではシフトレバーを前後に動かしてシフトダウン/アップ操作を行うものあるが、これはやりにくいと感じるようになった。
この7G-tronicでは、下り坂でエンブレを効かせたいなど故意にシフトダウンしたいとき、ハンドルから手を放してシフトレバーに手を持っていく流れの動きのまま、シフトレバーをトン!と助手席側に押せばシフトダウンしてくれるので、かんたんに一つの動きで一発で決まるのだ。カンタン、明快。
(まぁ最も簡単いいのはハンドルについたパドルシフト操作なのは言うまでもないが・・・)
前後の操作方式だと、いちどシフトレバーを握って、次に前後に押す別の筋肉を使うので一瞬できまらないのだ。(常にシフトレバーに手を置いて居れば別ですが)

しかもこの7G-toronic,シフトアップダウンのその左右操作時のタッチがシフトレバーの反発スプリングがいい具合に効いていてじつにいいフィーリングなのだ。シフトレバーのトップ部分も、触り心地がとてもいい。細かい梨地になったアルミ部分が指先に触れて年ともいえない感じですべすべしており、触り心地がいいので運転中にいつもここを無意識に触っている自分に気づく。^^
こういった操作系の「タッチの良さ」が、あ~Eクラスだな~と思わせてくれます。


欠点としては、距離を走った7G-Tronicでは、個体によっては、朝の冷間始動時など、エンジン(ATF)が冷えているときに2速から1速へのシフトダウンのとき(時速10kmほどか)、クン!と軽いショックが来ることがあることだ。
たとえば赤信号にさしかかってゆっくり惰性ですすみブレーキをそ~っと踏んで停止するときなどによく感じる。自分の320CDIもそう。
ブレーキを強めに踏んで停止するときはこのショックは無い。また、水温計が60度以上になればこのショックは徐々に消えていく。ATFが冷えているときだけの症状だ。朝エンジンをかけて最初の10分だけの症状だ。まぁ すべての7Gにこれが起こるわけではないので参考までにということで。

以上、DIYされる方のご参考までに 写真多めで詳しく書いてみました。
みなさん自己責任で成功を祈ってます。