フロアが水浸し!のE60修理2025年04月15日 06時34分57秒

知り合いの伝で 回ってきたBMW E60セダン(2005年式5シリーズ)の修理。
知り合いの知人の車で、見てやってくんねぇか~?ということでちょっと見てみることに。

BMW E60。 5代目の5シリーズ(2003-2008)ですねぇ。
チーフデザイナーがクリス・バングル時代のモデル。

このE60,雨漏りしているらしく 左側のフロアが水浸しになっている!
リアのフロアマットを外すと このようになっている。フロアカーペットまで、水がひたひた。
リアだけでなく フロントも!
黒っぽく見えるのは 水ですよ~!!

試乗すると、ブレーキングやカーブを曲がるごとに
チャポチャポと水の音が左側の天井あたりから聞こえてくるではないか。。。
サンルーフ付きだからな~~上から水が入ってくるのかな~~~

いつも車検など出している正規ディーラーでは サンルーフからかも?といわれ
修理は やんわりお断りされたという・・・。
雨漏り修理、やらないってか?根性ないな~~ でも、まぁ・・・・・Dならそうかもな。
手間ばっかりかかる修理で 部品代も取れそうにないし、車を留め置く期間も長くなりそうだし。

紹介してくれた知り合いの顔をつぶすわけにもいかず、オーナーもE60もかわいそうで、
引き受け、にしやんガレージに入庫させた。

まずフロントを上げ、フロアの水をリア側に集める。
そしてまずはお水取りから・・・スポンジで吸い取る。

何杯も取れますわ!


フロアカーペットめくり・・・うわ!
透明で見えにくいかもしれないが、3~4cmの水深はあるね。
配線の束も 赤バッテリーのプラス側のブットい配線も 水没してらぁ・・・

シートを外し、フロントも!
シート下にあるスピーカー、びしょぬれ

フロア下に走るエア配管を外し、前後に分割のカーペットは水でジュクジュク。
フロント側のスポンジカーペットは取り外し、水を絞り取る。
これが めっちゃ疲れる。絞っても絞っても!まだ濡れてる。
数日かけてファンヒーターにあてながら強制乾燥だな。


ちょうどシートの真下。
Bピラーの下の向こう側の空間はサイドシル。どうもそこから水が浸入してきたようだ。
サイドシル内、赤くさびてるのか?!とおもったら、よく見たら防錆ワックスの色だった^^
シートの下には前後にフロア強度を増すための隔壁があり、
ここで水たまりになるのだろう。
この水音がBピラーの空間を伝って、上に行き、運転していると 天井から聞こえてくるのだろう。
フロアは防音材が敷かれていますからね。
そうとしか 考えられない。


この水音がチャポチャポ言い出してから2か月ほどたつという。
青空駐車でずっと冬の間 雪がルーフにのっかっていたというから、雪溶け水が少しづつ侵入してきたのだろうか?
幸い、電子的なトラブルは出ていない。
配線束をほどき、2,3日乾燥させる。水没した束に、コネクタがないのが幸いだ。


水漏れの原因究明に入る。
サンルーフのほうから水が入っているのかと思い、左右のルーフ雨どいのチェック。
天井の内張りは濡れていない。

サンルーフの隙間からの水は、この雨どいに入ることになる。
そこに 水を流してみる。

リア側に流れた水は、いったん隅の樹脂ボックス内に集められ、そこからリアタイヤハウスに伸びるゴムホースを流れて行って、タイヤハウス上部の穴から排出される。
お、ちゃんと出るじゃないの。
ルーフの四隅に排水ドレンがあり、前の左右、後ろの左右 合計4つとも、ちゃんと排水されていた。
当初、ドレンがごみなどで詰まっているのかと思ったが、
サンルーフが雨漏りの原因ではないようだ。



ネット情報では E60は ドアの内張りから漏れてくる事例も多くみられるようだ。

ドアの内張りをはがしてみると、防水のためのウインドスクリーンのブチルゴムのコーキングがはがれてしまっていた。ここから水の流れた跡も見える。
原因はここか~。
経年劣化で、ブチルゴムの粘性がなくなり、ウインドスクリーンがはがれてしまったのだろう。
大衆車ではこのウインドスクリーンはビニールシートが使われているが
さすが5シリーズは、スポンジの成形品であった。^^
でも逆に、スポンジ成型品であることが 災いしている可能性もある。
ビニールならもっとしっかりブチルゴムと密着していたろうに、と思うのである。


ドア内張りから漏れ出た水が、二重のドアシーリングの間にたまり続け、
スカッフプレートの取付穴からサイドシル内にどんどん入っていった可能性あり。
水がたまった跡があるもん。

そしてサイドシルからフロアに流れ込むという流れか。
でもサイドシル内から外に水は抜けなったのだろうか?水抜き穴がないのか?


とにかく、はがれてる部分は新しいブチルゴムを使って防水処理をする。

ブチルにウインドスクリーンを押し付けた後、ローラーでさんざん押しつぶしたから、密着度は半端ない。
もう はがれまい。


内張り上部のこのプラスチック成型のバーは、
ドア内張りを取り付けクリップにがっちりはめ込むためのものだが。

これが経年劣化で内張りからポロリとはがれてしまっているのだ・・・。
ドア4枚とも はがれていた。
日本の気候、ドイツ車には厳しいのかな。こういうところが、輸入車あるあるですね。


スリーボンドのエポキシ系接着剤で がっちり接着だ!



これでドアの内張りもしっかり取りつくだろう。

ドア内部に基準よりも多く水が浸入するのは
この樹脂部品が外れてしまって内張りがうまくついていなかったことも
雨漏りの原因になっている可能性もあり。




さて ドアの防水処理をしつつ、フロアを布団乾燥機で強制乾燥。
2,3日でフロアやスポンジカ―ペットも十分乾燥したので
おり返し地点、取り付作業へ。
配線束をアセテートテープでまとめ直す。

いろいろ取り外したものを 再び 丁寧に装着していきます。

フロントのフロアカーペット、取り付け終了。


リアの防音用のスポンジ付きのフロアカ―ペットもよう~~~やく かわいた。
何度も何度も タオルで水を吸い取るの、疲れたわ~

もろもろ 取り付けていく。



電動パワーシートを取り付けて、各部点検の後、テストランに出る。
もう、チャポチャポの水の音も聞こえないですね^^
一晩 露天で雨水にさらしてもドア内張りからの水の漏れもなかったので これで納車としました。
1週間預かりの合計25時間の修理時間、ブチルや接着剤の材料費も込みで 5.3万円の請求としました。