F31 BMW320dツーリング バイブレーションダンパー交換2024年08月13日 08時03分00秒

先日行った友人の車の整備ネタ。

3シリーズツーリング、320dの予防整備です。
直4ターボのクリーンディーゼルエンジン N47D20 は燃費も大変よく、
8速ATも日本の道路事情に合ってよくできていて、人気の車種です。


いちど以前にハンドル握らせてもらいましたが、
1.6トンもありながら37.5kgほど出るこの「N47エンジン」はトルクフルで加速もよく、
「おおっ?!」と思わせる車でした。
合わせて自動ブレーキデバイスや追従クルーズコントロール、レーンキープ機能もあり
なかなかのモデルです。

ただし、10万キロも超えると いくつか消耗してくる部品もあります。
今回はバイブレーションダンパーというパーツ交換で 
当ガレージでDIY整備しようという週末のお楽しみです。
夜明けとともに早朝から整備開始!

にしやんは横から眺めて監督しているだけで、友人にDIY作業をやってもらいました。

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エンジンのトップカバーを外したところ。
N47という2000ccクリーンディーゼルエンジンです。


フロントに鎮座するエアクリーナーボックスやブローバイホース、
ターボチャージャーにつながる吸気関係のゴムエルボなどを外しました。
駆動ベルトが見えます。4気筒だし、これなら作業スペースもじゅうぶんあります。
ベルトの上部に見える銀ピカの箱は、クリーンディーゼルならではの装置、
排ガスの再循環装置であり(EGR)、四角い箱は排ガスを冷やすためのクーラーですね。
先日、これがリコールでディーラーにて対策品に交換されています。
クリーンなディーゼルにするためには、一度吐き出した黒煙を含んだ排ガスをもう一度インテークに導いて再度燃やしてやってるので(再循環)、黒いすすが出ないというわけ。

まぁ・・・このしくみため、インテークバルブに黒いすす(カーボン)が必ず付着していくわけですが・・・
このあたりのしくみと、バルブのカーボン掃除は、以前乗っていたメルセデスE320CDIステーションワゴンの「インテークバルブのカーボン地獄」の整備でも行いました。(二度とやりたくねぇ・・・)

この320dであっても、どの車でもクリーンディーゼルはみなインテークにカーボンが付着していきますが、
やがてそれが詰まってしまうわけでもなく、ある程度に堆積したところで頭打ちになり、普通に走れてしまいます。
実際にこの320dも距離走っていますが、高速ではリッター20kmの燃費は出るし、加速もよいし、エンジンチェックランプがつくわけでもなし、で、普通に乗れています。


話がそれましたが
今回交換する部品がこちら。バイブレーション・ダンパー。(クランクシャフトプーリーです)
矢印の部分、ゴムで成形されており、エンジン始動の際にショックを和らげるという機能があります。
推測ですが アイドリングストップ機能があるため、少しでも始動時のショックを体感させないようにするためのものだと思いますが・・・
問題は、矢印の部分に、亀裂が入ってきて、最後は破断してしまうのです。
破断しちゃうとベルトが回らなくなるので、ウォーターポンプやオルタネーターは回らないため、オーバーヒート&バッテリ上がりとなり 当然走れなくなってしまいます。
消耗品なんですね これ。


バイブレーションダンパーを外すために ベルトを外しますね
外す前に、ベルトの組み方を写真に撮っておきます。

テンショナープーリーを16ミリソケット緩めれば かんたんにベルトは外せます。
4mm六角レンチを差し込んで テンショナーがばねの力で戻らないようロックしています。
このあと アイドラ―プーリーを外し、
バイブレーションダンパーを少し時計回しに回して、専用工具を使い、
バイブレーションダンパーをロックして回り止めをします。
バイブレーションダンパーにキリカキがあり、そこに専用工具をひっかけ、アイドラ―プーリーの取り付けてあったねじ穴に、工具のM10ねじをねじ込み固定。

その回り止めの専用工具がこれ。
海外からの送料を入れると 3~4万円となり 高いですよ~~

これがないとできないので イーベイで探して 海外から輸入しました。
メーカーはKTCという・・・日本のKTCとは関係ないよなぁ?
特殊専用工具ばかりを取り揃えてあるショップですね。
BMWだけでも200アイテム以上くあり、
痒い所に手が届く特殊工具がそろっています。
これらのツールがないと DIYできない整備もありますからね。
BMW2002に使うような特殊工具はありませんが・・・。


バイブレーションダンパーに2か所のキリカキがあり、そこにひっかけて回り止めしています。
4本のE12トルクスボルトを外しました。

ボルトを外せば アッサリと バイブレーションダンパーは外せます。
矢印の部分、ゴムに亀裂が入っていますね。いつ破断するか、コワイのですよ~
壊れる前の 予防的交換というやつです。
これがトラブルなく輸入車に乗るコツです。

バイブレーションダンパーを外したクランクシャフト前端部。
今回 フロントオイルシールは交換しない。


新しいバイブレーションダンパーは友人がネットで購入。
BMW純正品はこの倍以上もしますよ。


手でそっと奥まで入れます。
位置は回り止めにひっかけるキリカキの位置が同じようになるように。
手で4本の新しいボルト(古いものは再使用不可)をねじ込んだら、
再びまわりどめツールを装着。

その後、40Nmでトルク締めします。
さらに、102度の角度締めを行い、ボルトを可塑性域まで伸ばしてやり、ガッチリ締め付けるということです。(ヘッドボルトの締め付けのようですね)
ネット情報では、このボルトを「120度角度締め」と書かれています。BMW純正品のトルクスボルトの場合は、120度なんでしょう。(多分BMWのファクトリー電子マニュアルに120度と書いてあるのだろう)
自分らも120度だと最初思い込んでいましたが、
CORTECOのバイブレーションダンパーについてきた説明書読みると、しっかりと102度と書かれていました。
最初はミスプリントではないかと思いましたが、こんな重要な情報をミスプリするはずもないだろうと。
CORTECO製品のボルトの材質の場合は102度なんでしょうね、ということで、なんとなく納得。
それと万が一、ミスプリであっても、102度で締めこんでおけばオーバートルクにはならないということ。
もし120度のところを102度で締めこんでも、8~9割の力で締めこんであるので、ボルト4本もあるし、バイブレーションダンパーが緩みました外れました!ってことは絶対!ないと思う。
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最初に戻ります。
まず40Nmでトルク締めしたら 確認のために ボルトヘッドをピンク色にペイントしました。
このボルトが奥まっているために、作業者から見えにくい!見るためのミラー必須です。

続いて角度締め。
102度を一気に回すスペースがないので、
最初に60度締めこんでから、次に42度締めるという具合に 二段階に分けました。
E12トルクスソケットと、角度を測るアングルゲージ(差し込み12.7mm)、
それと、60cmブレーカーバー(差し込み12.7mm)、角度読み取りのために手鏡ツールを使用。
最後の42度を回し終えたところ。



102度の角度締めを終えた個所は、ホワイトのタッチアップペンでペイント。
320dオーナーの友人と二人で協力しながら確実に進め、4本無事に締めこみました。

使用した工具類です。


最初の状態に組み戻し、点検後、エンジン始動。いつもと問題なし。
ちょっと近所の試乗に出て、違和感がないことを確認しもらいました。
作業終了です。もういつ破断するかと不安になりながら乗ることはありません^^
総額費用は特殊工具を入れても6万円程度でした。
回り止め工具はもう使うこともないだろうから、ヤフオクででも売れば元が取れるでしょう。
(もしあるとしたら、フロントのクランクシールからのオイル漏れが起こった時かな)
ちなみにこのバイブレーションダンパー交換作業は、
この回り止めツールを持っていない整備工場ではできません。

にしやんは最初、こんな高い回り止め工具が無くても、チェーンバイスでプーリーをつかんで回り止めすればなんとかなるのではないかと思ってましたが、プーリー周辺を観察すると、ほかにいろんなパーツがついていてスペースがなく、やはりこの専用回り止めツールを使わないと作業できない、と判断しました。 この工具、厚み9mmのフラットバーを溶接加工して自作でも作れそうです。


この交換作業、ツールを持っているショップでも工賃見積をしますと、12万円でした。
その際、BMW純正品のバイブレーションダンパー使用の前提でした(Coreteco製のパーツ持ち込めない)。



続いて、友人はリアをあげて なにやら別の修理をおっぱじめました。

サイドブレーキワイヤの固定をしておりました。
経年劣化でワイヤ固定している樹脂パーツが折れて、ワイヤが暴れてぺラシャフトに触れて異音がするとか。
狭い奥まったところですが、オーナー自ら 対策品パーツを取り付けて完了です。
この3シリーズに あるあるな トラブルみたいです。

この車は当面、もう気になる箇所はありません。

秋になってどこか遠出するときにでも 数日間 貸していただきましょう^^ よろしくね