丸テール デフのベアリング抜き&圧入、デフ仮組み2023年12月15日 21時27分22秒

ベアリングインサーターセットが届きましたので
デフケースに残っている ベアリングのアウターレースを抜いていきます。

1ミリ刻みの円盤でから 程よいものを選び、抜きたいアウターレースにあてがいます

そしてプレスの出番

あっという間に 抜けました^^


フロント側のアウタ―レースを抜いたんですな


抜いたところで すぐまた 新しいアウタ―レースを圧入する

圧入するのにに JG54さんが貸してくださった圧入治具(デフから抜いたベアリングレースの外側を一皮削ったもの)が 役に立ちました^^


もうひとつのでかいアウタ―レースを抜くために
これまたJG54さんが貸してくれた当て金を ご承諾を得て ちょっと削り加工。
早朝5時に ゴリゴリと 削っております・・・。


奥側に見える デカイアウターレースの端っこに乗せます。
ほんの2mmほどしか かかっていないのですが
これの状態でプレスで下へ押し出します。

慎重にあてものをセットし、プレスします



はい、抜けました!
この当て金は 楕円形に作ってあるのがミソです。
アウターレースと、厚み調整用の「シム」が抜けます。
シムはやや直径が小さく デフケースに圧入されてはいません。

そのシムの厚みは、3.9mmでした。
これでピニオンギアの突き出し量を決めて 
ピニオンギアとリングギアの微妙なかみ合わせができています。


ところでJG54さんの送ってくれたアウターレース(ラージ)は
直径サイズが5mmほど大きかった。
にしやんが修理しているのは72年式丸テール前期型だから 違うのでしょうか?
それで 当て金のサイズも 大きかったんですね



新しいアウターレースです。もちろん 傷一つありません^^


今しがた抜いた旧品のアウターレースを当て金とし、

20ミリほど沈ませて 圧入完了!


続いて ピニオンギアシャフトをデフケースに入れて
小さいほうのローラーベアリングを圧入します。
このときに、クラッシュスリーブやオイルシールはまだ入れません。
今はまだ「仮組」段階なのです。


デフケースの位置を色々変えながら やるので 大変です


このベアリング圧入は 22ミリ沈むはずのところを
あと2ミリ残した20ミリで圧入をやめます。
プレスの強い圧力でローラーベアリングをプレスすると 壊れちゃうからです。
このローラーベアリングは、シャフトのトップにあるフランジを30mmナットでによって、絶妙な力で最終的に締めこんでやります
本来ならこの上に オイルシールを打ち込むのですが
それはまだ。

これですべてのベアリングは交換しました!


ではフランジをコンコンと入れて シャフトのスプラインにかみ合わせ、
スレッドコンパウンドを塗った30mmナットを締めこんでいきます。

フランジを回り止めして
30ミリナットを少しづつ締めこんでいきます。
シャフトの軸方向にガタがなくなったら、ベアリングのローラ部分が
アウターレースに接触したことがわかります。
ここからは、本当に少しづつ締めこんでいき。。


そのたびに いちいち小さいトルクレンチでしめ込みトルク(プリロード)を計測し確認します。
つまり、この30mmナットを締めこめば締めこむほど、ローラーベアリングを押さえつけることになるので、やがてローラーベアリングはきつくなって、回りにくくなってしまうのです。
きつく締めて回りにくくなったローラーベアリングで走っていると、やばいですよ!
この締め込みトルク値がファクトリーマニュアルに書いてあります。
BMW2002のショートネックタイプのデフで、300Ncm(+-30)ですから
仮組の段階で 2.7~3.3Nmの範囲が適正。国産車等に比べてキツめかな。
Friction Rating of Pinion Bearing の値がいわゆるプリロードです。
訳すると ピニオンベアリングの抵抗ぐあい。
まだオイルシールを入れていないから without oil sealのところを見ます
(オイルシールもひとつの抵抗になるからね)

ベアリングを良く回して なじませて 計測
いまのところ 1.2Nmぐらいに。もうちょっと締めこんでもいいかな
手でフランジを回してみると 締め込みが強いとか弱いとか わかると思います。

いずれにせよ、分解前に手で回してみたときの「ゴロゴロ感」はなくなりました^^


リングギアセットを中に入れて サイド側を組みます
シムの計測中。シムの厚みでギアの歯当たりが変わるので大事なところです。
(今回 サイド側のベアリグもなにも 換えていないが)


キャップをしめる


フランジを規定トルク110Nmでしめる


この時点で フランジの総合プリロード 2.0Nmに増えました。
リングギアの重みが加わったのでしょう。
さきほど一気に規定値の3Nm手前までもっていかなかったのは
これを予測してです。
ここにオイルシール分の抵抗が加わるから 最終的には3Nm手前ぐらいにはなるかな?
規定値には心持ち不足という感じですが 手でまわしてみて いい感じです。
まぁ本組ではなるべく規定値に近づけます


次回はバックラッシュ計測と 歯当たりの具合を見てみます。