BMW2002A メインベアリングのクリアランスチェック2020年12月24日 16時24分15秒

さて腰下のチェックに入ります。


クランクシャフトのキャップを外します。

キャップの内側にはメインベアリング(ベアリングシェル)の薄板がはまっています。
穴2つは、エンジンオイルが出てくるところ。油圧のかかったオイルがここからどんどん出てきて
クランクシャフトの軸とベアリングシェルとの間に油膜を作ります。


ブロック側。
クランクシャフトを外したあと、5つのメインベアリングがもう半分残っている。
このブロックの中にはオイルの通り道があるのです。



内側の状態を観察。
後端部。これはまだまだok.
思ったよりは状態がいい。いや、かなりいい。
キズもないし(全くないわけではないが)、すり減って摩耗している模様も見えない。



しいて言えば、真ん中のベアリングが少しすり減っている模様アリ。
が、このままでも問題はないと思う。
そもそも、メインベアリングセット(スタンダード)がワロスにも在庫なし!ebayにもない。
ヤマシタオートパーツにあるかどうか、問い合わせ中・・・


本当に問題がないかをこれから調べる。
問題とは、クリアランスの値のことだ。

それを計測するため、プラスチゲージというロウ状物質の細い棒をクランクシャフトの上にそっと置く。


ここにキャップをまたかぶせて・・・

規定トルク62Nmで締めこむ。


このときクランクシャフトを動かしてはいけない!
再びボルトを緩め、キャップを外すと、プラスチゲージがこのようにつぶれている。
ベアリングとキャップに押し潰されたわけですね。


この「つぶれ幅」を見て、クリアランスを確認する。
規定では0.030~0.068mmの範囲内にあればいい。(Haynes manual)
プラスチゲージに付属していたつぶれ幅目安の紙と、実際の幅を見比べる。
以下の画像。このクリアランスは0.038よりも若干狭い。つまり、クリアランスは0.038よりも大きいってこと。
でも、隣の基準幅の0.051mmよりは広いね。たぶん....0.042あたりかな???ってことが読み取れる。
ということで、上記の範囲内なので、クリアランスはOK!ということになる。

このクリアランスが大きくなればなるほど、エンジンから異音がするという。
カンカン…と。
そうりゃそうですよね、がばがば状態の軸受けでは、中で軸が暴れて軸受けにぶつかって音が出ます。
0.038~0.068mmとかいうせま~~~い隙間範囲のなかでの絶妙なバランスが保たれて、エンジンのパフォーマンスが発揮される。
そのキモとなるのが、この狭い隙間のなかにある油膜の状態。つまり、エンジンオイルの状態!!
エンジン特性に合ったオイルの粘度と品質のチョイス、そして交換のサイクル。
つまり「オイル管理」が大事ってこと。




さて次。これは0.038mmに近い。若干広い?
0.035当たり??(と自分に都合のいい予想)
加減いっぱいのクリアランスだが、0.030、まではないから、範囲内であろう。OK!


これは4番。0.051よりも幅が広く、0.038よりも狭い。
範囲内なのでOK!


という具合に見ていって、
クリアランスはすべて範囲内でしたので、このままメインベアリングは交換しないで使います。
もし、前述の「真ん中のベアリング」だけはもし入手できれば新品に交換します。


つぶれたプラスチゲージは丁寧にこそげ落としておきます。
表面には柔らかい金属がコーティングされているものですから
竹を削って作った特製のヘラで丁寧にこそげ落とします。
合計10か所あるから、これがけっこうめんどくさい・・・。