フェラーリの整備を再開2012年05月23日 15時30分11秒

長らくお休みしていたT師のフェラーリ308GTBのエンジン整備を再開することになりました。

これまでの経緯をまとめると、
2011年
10月 T師の308GTBがにしやん家にやってくる。目的はエンジン不調の修理。
10~11月
V8エンジンの後ろバンクのシリンダヘッド下ろし作業
ヘッドを下ろしてみたところ、エンジン不調の原因を発見。なんと原因はバルブシールがヘッドの中で外れていた!(本来ありえない。ここからオイルが燃焼室に下がり、プラグを濡らして再始動不良となっていた)
内燃機屋さんに持ち込んでよく見てもらうと、後ろバンクの排気バルブのシートリングに異常な沈み込みがあった。ということで、シートリングの打ち替え&シートカットが必要となった。排気バルブにも段付き磨耗があるので交換しなければならない。
こうなると、前バンクのほうも不安になってきたので、前バンクのヘッドをおろすために、エンジン自体を車体から切り離すことになり、エンジンを吊り上げて下ろし、前バンクのシリンダヘッドも下ろしたが、こちらは特に異常はなかった。
12月
内燃機屋さんに前後バンクのヘッドのオーバーホールを発注。排気バルブ側のシートリング打ち替え、シートカット、すべてのバルブを新品に交換、刷り合わせ、シム調整。
仕事中に、降雪のため内燃機屋さんが除雪車のエンジン整備の仕事が忙しくなってきたため、308の仕事ができず、中断する。
そうこうしているうち、にしやんも仕事が忙しくなってきた。このようなことから、にしやん家での整備はいったん5月まで中止ということで、エンジンが抜かれた308車体をいったんT師の家まで牽引していき引き上げた。
2012年5月
にしやんの仕事も普段のペースに戻り、暖かくなったので、いよいよエンジンを載せようではないか!ということになりT師に連絡。

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ということで、内燃機屋さんの小森商会さんからT師とふたりでシリンダーヘッドを引き取ってきました。
カムシャフトはまだ仮組み状態。新品のカムシャフトオイルシールも用意。

フェラーリ308GTBのシリンダヘッド、前バンクの燃焼室側。
おお!きれい!
今回ヘッドの面研磨はしていません。というか、これ以上できないくらいに既に削ってあったようなので。

ヘコんだバルブは吸気バルブ。平らな方は排気バルブ。いずれも新品でピカピカです。

ちゃんとシートカットも出来ています。

新品の排気バルブに、その周りの新しいバルブシート
古いバルブシートはとても硬く、削るのがとってもタイヘンだったそうです。(内燃機屋のおじさん談)
新しいものは、内燃機屋さんが用意してくれた国産品。(品番や素材は聞いてなかった)


はずした時と比較すると・・・きったな~い!カーボンで汚れていますね。
まぁたいていのクルマはみんなこんな状態でも元気に走ってるんですけど・・・

この排気バルブの付着物は・・・?
もちろんコソゲおとしてきれいにしましたが、排気バルブは段付き磨耗があったので捨てました。
しかも、バルブがシートリングにかすかに沈み込んでしまっていました。
硬い合金素材で出来ているシートリングにバルブが沈み込むって、そ~と~なことをしないと
起こらないはず・・・T師の前オーナーさんがハイカム組み込んでとんでもない負荷をかけて運転をしていたのでしょうか。

カワイソーなフェラーリです。・・・そんなことがあって、エンジン不調だったフェラーリを、T師がワケアリ価格で安く買い取ったそうです。不調といっても、走っているときはものすご調子がいいのですが、いったんエンジンを止めると、再始動できない・・・プラグの一部がオイルでベトベト・・・という状態でした。

購入後、ご本人はクルマ整備の出来る人なので、あれこれとあやしげな部品交換、調整を悩みながらされたそうですが、直らず・・・オイル下がりか、オイル上がりを疑って、これはヘッドを下ろしてなかを見てみるしかない!ということになったのです。
結局、原因はヘッドのバルブシール不良の、「オイル下がり」だったのでした。
ほかにも、シートリング打ち替えという整備も必要なことがわかったのです。

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必要なものは揃ったので、T師と協力して308のエンジンを完成させ、エンジン搭載する予定。
6月中には元気なフェラーリ308GTBが復活することを祈って・・・まずは整備マニュアルを頭に叩き込んでおきましょう。