BMW2002A デスビのガバナー進角装置の修理 ― 2023年07月17日 17時00分14秒
マルニのデスビがおかしい。
点検の過程で見つけたが ローターを指先で画像のようにひねると ほんの少し動いて勝手に戻るはずなのだが(ガバナー進角装置の点検)、
戻る途中で変な引っ掛かりがあって、完全に元の位置に戻らないのだ。
元の位置に戻ろとうとしない マルニのデスビローター
指先で戻すと カチッと 音がするぐらいに盛大に引っ掛かりがある。
あきらかに なにかに 引っ掛かっているように思える。
ちなみに デスビの進角についての詳しいお話は こちらが参考になる。
しかし暑すぎて
納屋のツバメも 扇風機の上にとまってます(笑)
じゃぁ~ 暑いけど やるか
クランクを回して 1番シリンダTDCを出してから 固定ナットを緩め デスビ引き抜き。
カバーとローターを外したところ
いろいろ外していく
ベースプレートを外すと 問題のガバナー進角装置が見えました
エンジン回転が上昇すると その遠心力で ウエイトが外側に動くので
それに連動してローターシャフトのヘッド部分が動いて
進角する(点火時期を早める)という仕組み。よくできてるな~
ローターヘッドをデスビシャフトから分離する。
Cクリップでとめてあるだけだ。ドライバ2本でこじると抜ける。
ローターヘッドの下部に 2本のピンと戻り用のスプリング
ピンが妙にさびてるな・・・
このあたりに なにか異常はないかふきとりながら観察・・
あった!
ウエイトに接触するピンが摩耗してる!このピンはウエイトの動きを伝える大事な部分だ。
こっちの短いほうも ウエイトに当たる片側だけ摩耗している。
本来ピンは こんな平面の削り跡などはなく、完全に丸棒のはずなのだ。
半世紀でこれぐらい摩耗するのか。。。ウエイトの方も摩耗しているが ピンの方が摩耗が激しいと思う
とりあえずウエイトはいじらない。やすりで削ろうとしても とても硬いし
削って この幅を広げてもいけない。
本来、ウエイトと「線」で接触するはずのところが
この摩耗により「面」で接触してしまっていたため、
ピンの面と ウエイトの面で 合っているものだからそれで落ち着いてしまって、
それ以上 元の位置に戻れなくなっていたのだろう。
修理前にいじっていた手の感覚でも そう思えば、そういった感じであった。
にしやんの2002のデスビと比較してみた。
やはりピンが 摩耗している・・・ でも 2002Aの方がひどいね
さてどうするか。
新品は 当然 でない。
なんとかして 今日すぐ ピンとウエイトを「点」で接触させたい。
朝飯を食いながら考えた解決法。
ピンは抜け落ち防止にカシメであるのでなかなか抜けないが 溶接してあるわけでもないので やってやれないことはない。
周辺をバーナーであぶって膨張させ ピンを裏側からピンポンチでガツンガツンと注意深く打ち抜いた。
直径4.5mmのピンで 抜け防止に刻みが入っていた。
これらが抜けたらもう こっちのもんだ
ピンのふちをピンポンチで2か所ガツンと打っておいて ピン抜け防止のカシメとした。
これでピンは ウエイトに「線」であたるので 引っ掛かりがないようになるだろう。
よ~し 修理のヤマ越えた。
パリパリに硬化して バラバラになっていた ガスケット 0.3mm厚
新しいガスケット紙で切りだし
ガバナーウエイトを組み込む。ウエイトの一部が接触します。
ローターヘッドを組み、戻りスプリングを設置。
指で動かして動きを確認。 もう引っ掛かりはない!^^
ちゃんと健全に動くようになった(戻るようになった)動画 こちら
あとはベースプレートやポイント、その他を組み戻す。
大事なのが シャフトのトップに フェルトが入っているのだが
これをわすれないこと。腐ってなくなっていたら、ホムセンでフェルトを買ってくる。
そしてここにエンジンオイルをたっぷりしみこませておく。
徐々にオイルがデスビシャフトの下に伝っていって、先ほどのピンやガスケットに伝い落ちていってウエイトとの接触部分をオイルが潤滑してくれる。
これは定期的にチェックして
ここのオイルが切れて乾いていないか チェックすべきところだ。
今回のピン摩耗の根本的原因は、
ここにオイルを定期的に注油していないので
潤滑不良となり、金属と金属がこすれて 摩耗してしまったと推測される。
潤滑不良となり、金属と金属がこすれて 摩耗してしまったと推測される。
エンジンにデスビ取り付け後の確認動画
もうひっかかりは 無くなりました。^^
ちゃんと正常に進角してくれるでしょう。
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今回、ディープな修理でしたが
思うに、距離を走ったマルニは みんなこうなってピンが摩耗してしまって
点火時期を狂わせているのではないか。
ガバナー進角はするので回転を上げていったときはちゃんと進角させてくれ問題ないが
本来の位置に戻らないので、むしろアイドリング時の点火時期に影響があると思われる。
デスビのシャフトシールを交換するときにデスビをヘッドから抜くから、
このときにここまで一度メンテすればばっちりなのだが。
もし摩耗がひどい時は、直径4.5~4.6mmのドリルの丸軸の方を使って
ピンを打ち換えて交換するといいだろう。
定期的に 少なくとも1000km走行ごとに デスビシャフトのフェルトに
CRC556じゃなく エンジンオイルを注油してくださいね。
CRC556じゃなく エンジンオイルを注油してくださいね。
デスビキャップを外し、ローターを外さねばなりませんが・・・簡単ですよ。
追記:
伝い落ちたていったエンジンオイルは デスビの下の部分にオイル抜きの穴が開いてるので
そこからデスビの外にポタリと落ちます。
デスビのこのあたりもウエスで定期的に拭いてやった方がいいでしょう。(オイル漏れトラブルではありません)
3か所ぐらい 穴が開いてたはずです
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