BMW2002A 3HP12のバルブボディOH2022年10月24日 00時02分55秒

オートマのシフトをRやD(マルニではAと記載されていますが)に入れたときに
どうにもZF 3HP12のATの変速ショックが ドンと大きすぎるのでバルブボディをチェックしてみることにしました。

3HP12のATFオイルパンを外しバルブボディを外す前。
十分に油のしずくを落とし切ったつもりでも バルブボディの取付ボルトをゆるめたら またドババとATFが出てきますので注意。 


12本のボルトを取り、バルブボディを外しました。
このうらがわのほうにある・・・

アクセラレータユニットの方を3本のマイナスボルトを外して外します

これはアクセル開度によって油圧を変える部分であり
クラッチのダンパーを受け持つ箇所です
飛び出ているのがピストンで、アクセル開度によって押し込まれます

分解すると スプリングとピストンで こうなっているはず 3がピストンです

1のカバープレートを外し、12のクリップを外し、5,7,21を取り出し

ところが!
4,6,20の方ですが、何と 6のスプリリングがバラバラになっていた!

なんじゃこりゃああ!

しかも、6だけじゃなく、別な細いスプリングも二重で入っていた!しかも真ん中で折れてるし!
このスプリングは 油圧ダンパーの仕事をするので
ショックは大きくなるわな~



折れたスプリングが中のシリンダーを傷つけてた!まぁここは体勢に影響なしの部分だからいいけど


折れたスプリングはパーツが出るはずもないので
大阪のスプリング製作会社にサンプルを送って製作してもらうことにしました。いいところですよ。


5営業日で届きました!
いちおう細いほうの謎のスプリングも製作してもらいましたが・・・マニュアルに記載が無いので使わないつもり。


こっちの方だけ使います。
オリジナルのばねの素材は不明でしたが、
ばね屋さんのおすすめで最良のSWP-A(ピアノ線の仲間)にしました。
バネレートも近いと思います



さっそく入れて組みます。自然長90mmを65mmに圧縮する感じ
これでシフトショックが ドン!じゃなくてトン。 程度にマイルドになってほしい。
これは試乗してみないとわからない。


★追記:
このスプリング、実は、親子ばね状態で2本入っていることが正しいことがわかりました。
ほかの3HP12を 色々調べてみてわかった事実。
つまり、ファクトリーマニュアルの方が違っている。・・・いやはやなんとも。


自然長はそれぞれ、太いほうが87mm、細いほうが95mmです。


その他の部分もばらしてみます。

異常はない。


小さい部品、間違えないように。

樹脂製の直径5ミリのボール5個。劣化は見られなかった。



紙ガスケットもまだ持ちそうだが このあたりで交換したい・・
はい、ガスケットシートから手作りで同じものを作りたい。大変だろうけど、いちおうスキャナーで等倍スキャンしておいた。0.3ミリぐらいのガスケットシートから 半日ほどかけて切り出せばいいだろう。


バルブボディのスラッジなどを灯油で徹底洗浄

ゴミや糸くずなどつかないように組みます

上下に 2分割したバルブボディを合体


フィルターのメッシュに小さな穴があったんもんで
ウルトラカッパーで穴埋め補修。

このフィルター、替えがないのよ。メッシュに絡んでいるから これで問題なかろう


組みあがり。
バルブボディはこのようにオイルパンにすっぽり入りような位置にあって、ATFにどっぷりと浸かっています。
オイルパンの中はATFだけが溜まってて がらんどうの空間だと思っている人、それ間違い!

AT本体に組み付け。
もうわかったから 次からは取り外しから分解清掃、取付まで1日かからないだろうな。
クラッチダンパーのスプリングの具合は後日様子見て 必要ならまたスプリングの長さなどで変化せても おもしろいかも・・・


ここのピストン、組付けするとき気を付けて!(って誰も やらんか)
※この画像は組付け失敗の例です

これが正しいっちゃ


ちなみにマルニに搭載されている 3HP12はZF製としては初の乗用車用オートマチックトランスミッションと
いうことです。

BMW2002A オートマミッション3HP12のオーバーホール1 ポンプ編2022年10月24日 20時05分26秒

BMW2002A の3速オートマミッション、ZF 3HP12のオーバーホールをします。
最も初期の頃のATなので 複雑な機構はなくいたってシンプル。


一番のネックは、パーツが出ないことだ。でもそこは探せばあるもの。
イーベイではオーバーホールキットが出ている。円安なんで15万程度。送料込みで18万ぐらい。買ってないけど。(笑)
写真を見るに、ガスケット、オーリング、オイルシール・・・これらは国内で用意したりガスケット自作(複製)もがんばればできる。
困るのは、摩耗したフリクションプレート(摩擦材が貼ってある茶色い丸いやつ)や金属製のディスクプレートだ。ディスクプレートはめったに摩耗することはないので、なんとかフリクションプレートが用意できればと思う。これらもイーベイで探せば出てくる。


今回扱うATの番号


ディップスティックのパイプはとっておく。ひっこぬくだけです


差し込み根元のオーリングも交換します。オイル漏れがしやすいところなので。
Oリングドットコムで購入。NBR-70-1(1A)線径3.55mm、内径18.00mm  1個130円



これがピッタリなんだわ
スティックのパイプを押し込むときはすべりが良くなるよう オイルを塗ってやってください
ここがからオイル漏れしてて、手っ取り早く液体ガスケットを外側から塗りこめてでオイル漏れ止めしてある2002Aをよく見かけますね...。



トルクコンバータ(トルコン)を抜く


ベルハウジングの13ミリボルトを外す (ナットの場合もあり)


ベルハウジングがとれます。 おっと本体側(クラッチ側)のワッシャーもついてきちゃいました


13ミリボルトは外し、その穴から向こう側へATFポンプユニットをピンポンチでコンコンして均等に押し出す

外れたポンプユニット。歯車が向こうについたままだ・・・


歯車セット。異常摩耗などは無かった。


ベルハウジング側 異常な摩耗は無し


周囲のカスを取る。
ここにはオーリングが乗るので。


ポンプユニットは洗浄。組み付け前にATFまぶし
中央の歯車は表裏があるので注意


本当は線径3ミリのオーリングが欲しいのですが、ないので仕方ない

これが規格品で最も近いサイズ モノタロウで発見


ウルトラカッパー(液体ガスケット)も使い 線径の細さをカバーする

合体させます。
中央歯車には表裏の向きがあるので注意する

茶色のステータシャフトのオイルシールは交換済みです。

 以前ここからオイル漏れしてました。



オイルポンプ取付ボルトのトルクは10Nm  


ガスケットは石摺りをとり 自作する

ガスケットシート0.5mm厚

ピンポンチで穴あけ 細かいところはデザインナイフでカット加工


こびりついた古いガスケットはパッキンはがしを使用
このあとケース洗浄の時に 合わせ面を軽くオイルストーンでさらう
中身のクラッチディスク類は すでにとり外してあります


あとはガスケットをのせてベルハウジングと合体

23Nmでベルハウジングを締め付け
オイルポンプ編は終わりです。

次はメインの本体側、クラッチ編です。