シリンダーボア計測2007年11月06日 19時16分32秒

今日は雨、昨日のサンドブラスト後のブロックを徹底洗浄。
オイルラインを念入りに・・・
その後、改めてシリンダーボアの計測を行いました。(しつこい)
ボアの直径は89.015mmが標準。データ値は以下のhp(BMW2002 FAQ)を参照。
http://www.bmw2002faq.com/content/view/46/32/
マイクロメータのメモリ89.015mmをボアゲージに写してシリンダーの直径を測ります。
計測点はクランクシャフト軸方向と直交するスラスト方向。そしてシリンダーの上、中間、下の3カ所で1気筒につき6点を測ります。

結果わかったことは、クランクシャフト軸方向(ピストンピン方向)の直径はおおむね0〜0.005mmでほとんど摩耗していないのだが、スラスト方向は0.005〜0.040mmの値で4つのうち2つの気筒でボア基準値を超えた摩耗度であったことでした。また、計測位置によって数値が微妙に違います。使い込まれたシリンダー内って、ミクロ的に見ればけっこう起伏があるんですねぇ。特にシリンダートップのリング周辺は数ミリ計測場所を変えるだけで数値が変化します。

さてボアの直径だけでなく、大事なピストンとのクリアランスも測りましょう。
まずピストンのスラスト方向のスカート下部(下端から15ミリほどの位置)の直径を計測。ここは楕円型のピストンの最大直径部。88,93mm。(ピストンはスラスト方向に若干直径が大きいのが普通で真円ではない)今回、スラスト方向での計測はタテ傷のついている部分での計測ですから、やはり基準値の88,97mmより0.04mm摩耗していることになるか。
この数値をボアゲージに写して、シリンダーのスラスト方向で計測。
結果、0.080~0.120mmとでた。特にトップから20mmほど下あたりがよく摩耗している。ちなみにマルニの基準値は0,040mmです。
タテ傷の摩耗分0.040mmを差し引けば0.040~0.080mmのピストンクリアランス。

このピストンクリアランス、限度値というのがあります。つまり許容範囲の限界値。ユーノスロードスターやランエボ等の走り屋系エンジンオーバーホールのサイトを見ると、限界値は0.150mmとも。
上記HPによればBMW2002のピストンクリアランス許容限界値は0,100〜0.150mm(Max. permissible total wear play on piston and cylinder)ということなので、僕のマルニエンジンはしっかり範囲内。
実はまだこのままでも許せる範囲内ということ。
ピストンリング、親子メタルだけ換えて、現状で組んでみるというのもアリかも知れません。費用的にも、大助かり!

ピストンクリアランス0,04mmというのは冷間時の値。エンジンを始動してブロック、ピストンがともに熱膨張すると、もっとクリアランスが詰まるらしいのですが、焼き付く事は無い、なぜかというとピストンが変形して真円に近づくからだそうです(OT別冊「ケルン石塚の世界」の記述による)。

ということは、冷間時エンジン始動後の楕円ピストン状態で、ガスペダルを踏んでエンジンに高い負荷をかけるのはシリンダー内壁を傷めることにならないでしょうか。最近のピストンは材質改善もあってそんなに楕円型に作ってないのかもしれませんが、少なくとも、生まれが30年前のマルニに関しては暖気をちゃんとすればエンジンを不必要に傷めないということになりますね。

シリンダーボアゲージは今回初めて使いましたが、これ、おもしろいですね。クリクリと針が振れるとこがいかにも計測しているという感じで。素人でも直径が1000分の1単位で計測できることに、なんか淡い感動を覚えます。

もうピストンとシリンダーについての考察は十分ですね。
次はクランクシャフト関係の計測に移ります。